コロナ禍では夫婦が一緒にいる時間が増える。それは離婚の原因にもなりかねない。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「離婚の相談者が通常の4割増になっている。夫の言葉や態度、嫌がらせの相談も少なくない」という――。
結婚式の新郎新婦の像が砕ける瞬間
写真=iStock.com/Sohl
※写真はイメージです

「コロナ離婚」に悩む相談者は通常より年齢層が低い

新型コロナウイルスによるステイホームの常態化がきっかけとなり、コロナ離婚という新たな問題を抱えた夫婦は少なくない。私の相談所に訪れる相談者も通常の4割増となっている。

ステイホームが長引くにつれ、増えている相談内容のひとつに、「モラハラ夫に、これ以上耐えられない」という妻からの悩みがある。夫からの心ない言葉や態度、嫌がらせにより、精神的なダメージを受けている妻も少なくない。

相談者の年齢層も特徴的だ。コロナ離婚に悩む相談者の場合、中心層は30代後半~40代前半。通常の夫婦問題で訪れる相談者に比べ、年齢層が低くなっている。

夫のモラハラによりコロナ離婚を考える30代後半~40代前半の夫婦の共通点としては、「まだ子どもが小さい」ことと「夫に浮気の心配がある」という点もあげられる。例えば、こんなケースがある。

※登場人物のイニシャルと年齢は変えてあります

わが子をストレスのはけ口にする夫に失望

【CASE1】今さら子育てに口出ししてくるモラハラ夫

学生時代に交際していた相手と結婚したR子さん(38歳)夫婦には、小学6年生の長男がひとりいる。3年前にそれまで勤めていた会社を退職し、独立した夫(39歳)は、「軌道に乗るまで仕事に集中したい」と平日は自分のオフィスに住み込み、週末になると帰宅する生活スタイル。今年5月からは、コロナウイルスの影響により、平日も自宅でリモートワークをするようになった。

それまでは、子どもの育児に関してはR子さんにまかせきりの日々で、中学受験を控え、進学塾に通う息子の成績にはほぼ無関心。ところがコロナ禍で自分の仕事が忙しくなくなったせいもあり、興味の対象が息子の成績に移った夫は、R子さんに子育てについてあれこれ口出しをしてくるようになったという。

「今まで息子の相談をしても面倒くさがるだけで力になってもらえなかったのに、自宅にいるようになっていきなり『こんなに頭の悪い子どもに育てた覚えはない』『お前の子育ては間違っている』と怒鳴られても、腹立たしいだけです」

塾が休みの日でもコロナの影響で外で遊ぶことができず、子どもなりにストレスをためている息子に対しても「パパの言うことをきかないから、オマエはバカになったんだ」「勉強ができないのはママのせいだ」などと、自分のイライラをぶつけて子どもを泣かせてしまうのだとか。

「私へのモラハラだけならまだ我慢ができますが、息子へのハラスメントは許せません。息子の受験が終わったら、別れようと思います」

R子さんは、現在弁護士を立てて離婚の申し立てをすることを検討中だ。