以前から、地方在住の学生にスカイプを通じて面接をする機会があったが、全員を対象にしたのは今回がはじめて。基本的には、面接官である役員や管理職、人事部員、学生はそれぞれの自宅から参加する。

主な流れは、次の通りだ。

まずは会社説明会。社長や社員と学生がライブでやりとりをする。管理本部執行役員CHO(最高人事責任者)中川梓氏によると、弾んだ内容になったようだ。全国の学生がパソコンやスマホを使い、気軽に参加するようになり、従来は少なかった北海道、東北、四国、沖縄の学生が増えたという。

その後、1~3次面接があり、適性検査、オンラインによる仕事体験をして、最終面接となる。内定後に、オンラインで社内見学や社員との面談を実施する。

面接で特に気をつけたことは「双方の言葉が、かぶらないようにする」「頷いたり、笑ったりするジェスチャーは、ややオーバーにして学生に安心感を与える」「目線を常に学生と向かい合うようにする」など。

面接官らの手ごたえや精度は、リアルな面接のときと、変わらなかったという。

「学生の思いや温度感は十分に伝わった。唯一の課題は、自宅でのネットワークの環境が整っていない学生が一部にいることだ」(中川氏)

在宅勤務で、学生と電話で連絡をする機会が減り、内定までの事務連絡は主にLINEを使った。

内定を出すにあたり、迷いはなかったようだ。一方で「学生は迷うものがあったのかもしれない」と中川氏は話す。

LINEを通じて社内や職場の様子の動画や画像を送ってはいたが、学生はそれらの様子をじかに見ていないからだ。

「内定以降に、社内を実際に見てもらうようにした。仕事体験をWEBでも実施し始めた」(中川氏)

オンライン勤務はわが社の文化だ!

最後に紹介するのは、調剤薬局向けクラウド電子薬歴を展開するカケハシ(中央区・従業員数118人)。

20年3月中旬から奨励し、20年4月上旬から現在に至るまでは業務上の指示として全社員が在宅勤務をしている。

調剤薬局で使うソフトを開発するため、同社は創業時から社内外の業務のデジタル化を進めてきた。

仕事が滞りなくできるように、特に力を注いできたのが、部署やプロジェクトのチームビルディングだ。全社員が参加する会議は月1回開催。ミーティングは各部署で週2~4回(1回につき15~60分)繰り返す。話し合いのプロセスや結論に至るまでは、基本的にログやドキュメントとして記録に残す。

部署で多少の違いはあるが、個々の担当の仕事の現状や課題を共有していく。