「当社冷菓部門のアイスクリームには、『パピコ』をはじめ、『アイスの実』『ジャイアントコーン』『牧場しぼり』『パナップ』の重点5ブランドがあり、それぞれの訴求が異なります。最近はアイスの実が好調です」

安定した大黒柱(パピコ)に支えられながら、子ども(パピべジ)は伸び伸びと育てる方針か。“コロナ太り”で健康面が気になる消費者を見据えた訴求も行う。

津軽海峡を超えた「北海道の特産」

コンビニ業界で独自の取り組みが注目されるセイコーマートを運営する「セコマ」(本社・北海道札幌市)。近年、同社が力を入れるのが、自社ブランド「Secoma」(セコマ)だ。これはメーカーとしてグループ外へ販売する取り組みで、北海道産の原料にこだわったアイスで訴求する。

セコマ 執行役員 広報部 部長 佐々木威知氏
セコマ 執行役員 広報部 部長 佐々木威知氏

「この夏のオススメは『北海道メロンソフト』です。メロンの産地としても知られる北海道産の赤肉メロンを使い、06年に発売。当初はメロン1トンからのスタートでしたが、現在は100トン以上に拡大しています」

セコマ執行役員広報部部長の佐々木威知さんはこう話し、開発の経緯を明かす。

「発売の2年前、道内・苫前町のメロン農家さんから『規格外なのでそのままでは出荷できないが、味はおいしいメロンを1人でも多くの人に食べてもらいたい』と相談を受けたのがきっかけです。札幌冬季五輪の前年、1971年に創業した当社は北海道に育ててもらい、道内の特産品を盛り上げたい思いもある。その理念にも合う取り組みでした」

こだわるのは、メロンのおいしさに加えて、ミルクのおいしさだ。

「道内のサロベツ原野に育つ牧草を主食にした乳牛から搾る生乳を、近くの豊富町とよとみちょうの牛乳工場で原料乳に加工。クルマで約1時間半の羽幌町はぼろちょうの工場に低温配送しています。生乳から加工まで、製造工程で鮮度を閉じ込めているのも自慢です」(佐々木さん)

実は、首都圏や近畿地方など本州の小売店でも買うことができる。筆者の事務所近くにもドラッグストア「ウエルシア」があり、同商品を売っていた。「スーパーには幅広く卸していますが、ドラッグストアはウエルシアだけ」だという。

「コロナ自粛中の20年4月から6月のアイスの売れ行きもよく、対前年比で約120%でした。同時期の関東圏では当社のワインとサワーが非常に伸び、家飲み需要だと思います。アイスでも似た傾向が見られ、まとめ買いも多かった。現在も好調です」

自粛中は同社商品の中でも「北海道クリーミーソフト」(バニラ、チョコ)が好調だったという。「北海道牛乳ソフト」(バニラ、チョコ)もあるが、よりクリーミー度が高い。

この夏、政府が主導する「Go Toトラベルキャンペーン」も、コロナの感染拡大で雲行きが怪しくなった。北海道に憧れていた人が、観光旅行の代わりに、少しリッチなメロンソフトで「いながら北海道」を楽しむことができる。