単品首位は「横綱相撲」で受ける
18年、近畿地方の企業を訪問した際、好きなアイスの話となり、20代の女性社員と50代の男性社員が、コンビニで「チョコモナカジャンボを目的買いする」と語った。年代も性別も違う2人が別々に、「他のアイスには目もくれない」と話すのを非常に興味深く感じた。
森永製菓(本社・東京都港区)の「チョコモナカジャンボ」は、単品として最も強い。前身の商品が発売されたのは72年、現在のサイズや工法になったのは96年からだ。
「パリパリの食感が商品の最大の特徴で、お客様にも支持されています。商品の鮮度管理にもこだわります。夏場のピーク時にもつくりだめをせず、工場で製造後5日以内に出荷。ご購入者は10代から70代までと幅広く、販売数は19年連続で過去最高を記録しました」
こう話すのは、森永製菓・マーケティング本部冷菓マーケティング部の村田あづささんだ。
「チョコモナカジャンボ」は、商品パッケージにも「パリパリッ!」と大きく表示される。中に入るチョコは板チョコではなく、液体を流し込み固めるなど、喫食時の口溶けにもこだわる。
お菓子メーカーとして知られる同社の業績にも寄与してきた。
「20年3月期の決算では、チョコモナカジャンボが属する『ジャンボグループ』は対前年比109%で冷菓部門全体の売り上げは約407億円(前年比109.5%)。夏場の天候不順もありましたが、好調に推移しました」(村田さん)
改良を継続して行い、実績を積んできたので、この夏も横綱相撲で受けて立つ。
「製菓」と「乳業」でアイスを出す
「最近では『板チョコアイス』が期間限定から定番商品となり、販売も好調。ベルギー産チョコレートを使用したアイスで、商品の約45%がチョコレートです。お客様の中には、夏に本格的なチョコを楽しみたい人がおられ、そうした層に支持されています」
冬アイスもそうだが、近年は「AだからB」という消費鉄則が崩れてきた。送り手側の思い込みもあったかもしれない。
かつて「競合を見ないで消費者を見なさい」と言った名経営者がいたが、「消費者はどんどん変わる」のだ。
もともと「森永ミルクキャラメル」(1914年発売)という百年ブランドから始まった同社は、菓子食品事業が看板で、チョコレート系では「ダース」や「チョコボール」などのロングセラーを持つ。