コロナウイルスの感染拡大が続いている。それでもなぜ満員電車はなくならないのか。緊急事態宣言中はリモートワークができていたのに、解除されたとたん「全員出社」が復活してしまう理由とは──。
新宿の駅で通勤
※写真はイメージです(写真=iStock.com/bennymarty)

「決まりだから」と言ってしまえば一番ラク

5月下旬に緊急事態宣言が解除されて以降、都心では朝の満員電車が復活しています。これは多くの企業で出社、しかも全員同じ時間帯での出社が復活している証しでもあるでしょう。

宣言中は、かなりの割合の企業がリモートワークを実施していました。この経験を経て「リモートでも仕事はできるとわかった」「効率的に働けるようになった」という声も少なからず上がっています。なのに、なぜ全員出社して働くスタイルに戻りつつあるのでしょうか。

満員電車に対しては、感染拡大防止の観点から懸念の声も聞かれます。これを本気でなくそうと思うのなら、引き続きリモートワークを行うか、難しい場合には出社時刻をもう少し柔軟に運用すればいいだけ。多くの企業でこれが実現できない原因としては、主に次の2つが考えられると思います。

ひとつは、定時出社が「当たり前だから」「決まりだから」。これがまかり通るのは、多くの人にとってとても楽な考え方だからです。もうひとつは、今の社会では「決まりだから仕方ない」「制度が整っていないからできない」と言えば、それで言い訳が成り立ってしまうから。できない理由を聞かれた時、いちいち根拠を挙げなくても、こう言えば相手を説得できると考えているわけです。