“ひらめき”を放置する人が知らない事実

2020年は、アメリカが生んだ偉大な作家、アイザック・アシモフの生誕100年に当たる。

新型コロナ感染予防のため、無観客で開幕を迎えたプロ野球。福岡PayPayドームでは人型ロボットが応援を行った。
時事通信フォト=写真
新型コロナ感染予防のため、無観客で開幕を迎えたプロ野球。福岡PayPayドームでは人型ロボットが応援を行った。

アシモフと言えば、まずは「SF」で有名である。代表作の『ファウンデーション』シリーズは、日本では『銀河帝国興亡史』の名前でも知られ、広大な銀河系を舞台に帝国の隆盛と衰退、そして再生の壮大な人間ドラマを描いた。最近、アップル社のティム・クック最高経営責任者によって、『ファウンデーション』シリーズが実写化され、同社のストリーミングサービスで2021年に配信されることが発表された。

アシモフは新しい概念を生み出すことにも長けており、今では一般的に用いられるようになったロボット工学やロボットに関する学問を意味する「ロボティックス」という言葉は、オックスフォード英語辞典によれば、アシモフによって「発明」されたものである。彼は「ロボティックス」という単語がすでに英語の中にあるものと思い込んで使ったのだという。

アシモフは、ロボットはどのように行動すべきかを記述した「ロボット工学三原則」を考案した。「ロボットは人間に危害を加えてはならない」などの条項を含むこれらの原則は、ロボットの開発において今でも参照されるべき命題だとみなされている。一方で、これらの三原則をたとえ守っていたとしても、一つひとつの状況下で具体的な判断や行動を決定するのは難しいという事実を小説の中で示した。