韓国が中国の先端企業に勝つのは容易ではない

現在の韓国経済を俯瞰すると、自動車、航空、国内の小売り、観光など、多くの業種で業績が悪化している。韓国の景気停滞感は強い。そうした状況下、サムスン電子の半導体事業が韓国の経済を支えている状況が鮮明化している。

2020年6月6日、中国・上海のサムスン5G旗艦店でサムスンの5Gスマホを体験する人たち。
写真=Imaginechina/時事通信フォト
2020年6月6日、中国・上海のサムスン5G旗艦店でサムスンの5Gスマホを体験する人たち。

しかし、サムスン電子の先行きがどうなるかは見通しづらい。1つには、米中対立が先鋭化し、米国が韓国に中国向けの半導体供給を見直すよう圧力をかけていることがある。7月8日に米国のスティーブン・ビーガン国務副長官が訪韓した背景には韓国の対中政策を見直すよう圧力をかける目的などがあるのだろう。

それに加えて、中長期的な将来像を考えると、サムスン電子は重要顧客であるファーウェイなどの中国企業といずれライバル関係になる可能性が高い。圧倒的な国からの支援を背景にする中国の先端企業との競争は口で言うほど容易ではない。

サムスン電子が自力で、中国企業との半導体分野での競争に対応できるかは不透明だ。それは、サムスン電子の業績拡大に依存してきた、韓国経済の不安定性が高まる可能性があることを示唆する。