ブラジルでコロナ感染急増 暴走大統領の決まり文句は「人間はいつか死ぬ」(近藤 奈香/週刊文春 2020年6月25日号)

ブラジルのコロナ拡大が止まらない。6月12日、ブラジル保健省は、新型コロナの感染者数82万8000人、死者数4万1800人と発表。感染者・死者のいずれも米国に次ぐ、世界2番目の感染国となった。

感染状況を悪化させているのは、ボルソナロ大統領(65)自身に他ならない。今年5月には英名門医学雑誌「ランセット」がブラジル公共医療の「最大の脅威」と名指ししたほどだ。

女性や黒人に対する差別発言も多い ©共同通信社

「元軍人で極右思想を掲げる大統領はコロナを『ちょっとした風邪のようなもの』と言い続け、決まり文句は『人間はいつか死ぬ』。ブラジルにはアマゾン川流域や都市部のファベーラと呼ばれるスラムなど医療基盤が脆弱な地域が少なくない。すでに医療崩壊が起きているが、大統領は何ら対策をとらず、それどころか政権内からはこれを機にアマゾンの開発を進めるチャンスという声まで上がっていた」(現地ジャーナリスト)

自他ともに認めるトランプ信者のボルソナロ大統領。本家を超えるデタラメな施策が世界中から危険視されている。その最たる例がコロナ関連のデータ隠しだ。ブラジル保健大臣は6月5日から突然、データ公表を限定する暴挙に出たのだ。4日後に撤回されたものの、データ隠しの疑惑は燻ったままだ。

コロナ感染防止策をめぐっては保健大臣と幾度となく衝突。1カ月で2名の保健大臣が辞任する異常事態となった。そして5月16日、ボルソナロ大統領が保健大臣代行に据えたのが、医療知識を持ち合わせない元軍人のエドゥアルド・パズエロ氏だ。