ビジネスの現場では「気まずい沈黙」は避けたい。当たり障りのない雑談を弾ませるにはどうすればいいのか。話し方トレーナーの桐生稔氏は「相手との共通点を無理に探さなくてもいい。ひと言つけ加えるだけで、雑談も弾むようになる」という――。

※本稿は、桐生稔『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

屋外のビジネスミーティング
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三流は「今日は暑いですね」から会話を始める

【①最初のひと言】

こんな経験はありませんか?

自分「今日は暑いですね」
相手「そうですね。暑いですね……」(沈黙)
自分「今日は暑いですね。30℃を超えるそうですよ」
相手「30℃ですか。どうりで暑いと思った」
自分「ですよね……」(沈黙)

話しはじめてすぐに沈黙が生まれる会話と、自然に続く会話。一流の人の会話は、もちろん後者ですが、いったい何を意識して会話をはじめているのでしょうか?

桐生稔『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)
桐生稔『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)

実は明確なポイントがあります。

これを解決する前に、一つ質問に答えてください。人間が一番興味があるのは、誰だと思いますか? 大好きなアイドルでしょうか? それとも気になっている同級生でしょうか?

違いますよね。一番意識しているのは「自分」だと思います。例えば、修学旅行の集合写真。パッと見て、好きな女の子と自分の顔。どっちの顔を探すのが速いでしょうか? きっと自分の顔を発見するほうが速いですよね。自己紹介と他己紹介。どっちがうまくできるでしょうか?

きっと自己紹介だと思います。自分のことが一番よくわかっているからです。人間は自分のことを一番意識している。そして自分のことが一番話しやすい。むしろ話したいと思っている。一流の人は、そこを明確に理解しています。