体内時計は起床時間が近くなると血圧を上昇させ、目覚めた直後から活動できるようにするのだが、それが高血圧症などの持病を抱える人にとってはアダになるということだ。朝は心筋梗塞、夕方は不整脈の発作が起きやすい。朝や夕方はなるべくゆったりした気持ちで過ごそう。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏は「起床後にコップ1杯の水」を勧める。

「朝は脳梗塞や心筋梗塞発症リスクが高まります。睡眠中に水分が失われて血液がドロドロしやすく、体が起きるに従って、穏やかだった血液の流れが強まり、血管が詰まりやすくなることが一因。水を飲み血液の流れをスムーズにするといいでしょう。できれば白湯にして体を温めるほうが良いです」

同様に午前11時も白湯を飲みたいタイミング。血中尿酸値が最大になりやすいときで、尿酸が多い状態が続くと痛風を引き起こす。

「忙しく活動する人が多い時間ですが、意識して水分摂取を」(望月氏)

このように「病気発症」と「時刻」は関係がある。図の「体の機能のピーク時刻」と「疾患の発症時刻」を頭に入れて簡単な習慣を取り入れたり、服薬のタイミングを見直したりすることで病の発症や症状悪化を防げるだろう。

体の機能のピーク時時刻/疾患の発症時刻

アレルギー性鼻炎は朝6時が症状のピーク

実は最も古くから知られている例が「喘息」だ。午前1時から明け方にかけて発作が起こりやすいため、その時間帯に薬の血中濃度が高く保たれていることが必須になる。多くの喘息患者は「夕食後に服薬」と指導を受けている。日中に服薬すると、本当に効いてほしい真夜中には薬が体内で代謝され、消失してしまうためだ。

ほかにも、身近な疾患であるアレルギー性鼻炎の服薬も、就寝前がいい。

「アレルギー性鼻炎は朝6時が症状のピーク(昼間に活動して夜に休息をとる一般的な生活パターンの場合)。そのためアレルギー性鼻炎治療薬である抗ヒスタミン薬を服用するなら、朝よりも就寝前に服用するほうが鼻水や鼻づまりなどの症状改善に効果的であることがわかっています」(中村准教授)

一方で皮膚にアレルギー症状が出る場合は、22時がピークに。体が温まると症状が悪化しやすいため、入浴は22時前後を避けるのが望ましい。

「特に21~22時はアレルギーに反応する感受性が高まりやすい。普段から症状が出やすい人は、その時刻にカレーやアルコールなどの刺激物を避けたほうがいいでしょう」(望月氏)

また、鼻水や咳などの不快な症状を抑えるために市販の風邪薬を服薬する場合も「夜の服用」がお勧め。体温は午前2~5時に最も低くなり、その間に風邪のウイルスが増殖しやすい。服薬による症状軽減で、ウイルスに負けない体力を温存できる可能性がある。