末梢血管まで血液が巡る運動を

また、「運動」習慣についても、何も本格的なスポーツをやる必要はありません。いきなりスポーツに近いことを始めれば、ひざなどを痛める可能性がありますから、おすすめできません。長期間続けられることが大前提ですから、まずは自分のできる範囲で、気軽に取り組めることから始めてみるのがいいでしょう。

先に日光浴の効用についてお話ししましたが、日差しが出ているうちに運動をすれば一挙両得となりますので、ぜひ合間を見つけて実施していただきたいところです。

もし外出が難しければ、戸建ての方なら自宅の階段を上り下りする、ヨガやピラティスを自宅で行う、あるいはストレッチをするだけでも十分、効果があるでしょう。

特にウオーキングやヨガなど、ゆっくりとした、深い呼吸をしながらできる運動は理想的です。息の上がるような、運動強度の高いものはおすすめしません。運動によって呼吸が速く浅くなった状態では、末梢血管まで血液がいかず血流が悪くなり、免疫力も低下します。

私のクリニックでは患者さんに「タイチ」(太極拳の英語名)をおすすめしています。太極拳は体重移動を意識しながら関節と普段使わない筋肉を同時に動かすのですが、運動機能や感覚神経、心肺機能を実に効果的に高めることができます。

今はインターネットでさまざまな動画を見られる時代ですから、この機に室内で簡単にできるヨガやストレッチ、太極拳などの動画などを探してみるのも1つの手かもしれません。

テレワークの導入などで在宅時間が長くなった方は、いつもなら掃除機で10分で終える部屋の掃除を、あえてホウキで掃いたり、雑巾がけをすることで体を動かすのも効果的です。ストレスは免疫にとって大敵ですから、この機に滞在時間の長くなった家を快適な状態に保つべく、取り組んでみてはいかがでしょうか。

筋トレも悪くはありませんが、週1回の筋トレをやるよりは、一日15分の有酸素運動を毎日やるほうが効果的です。

(構成=梶原麻衣子)
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