歯面清掃でピカピカに 自己負担210円

歯の表面をクリーニングする「歯面清掃」という治療もあります。ブラシやポリッシャーという専門の機械で歯の表面を磨くのですが、汚れや黄ばみが取れてピカピカになります。これも保険適用なので自己負担は210円ほどしかかかりません。

歯面清掃をして歯がきれいになると、気持ちがいいし見た目もよくなるので、今度はその状態をできるだけ長く保ちたいと思うようになります。すると、ちゃんと歯を磨こう、うがいもしようというように生活態度も変わってくる。こうして口腔ケアの意識が高まることが、結果的に、虫歯や感染症の予防につながっていくのです。

ところで、歯面清掃と混同されがちなのが歯石の除去です。虫歯の治療のついでに歯石除去をしてもらった人も多いと思いますが、こちらは文字通り、歯周病のもとになる歯石を取る治療であり、使う器具も施術法も違います。

ブラッシング指導や歯面清掃で歯医者に行くのはいいけれど、それだけでは済まないんじゃないか、と心配する人もいるでしょう。ここに虫歯がある、あそこも治療しましょうと提案され、何度も通うのは気が重いというのです。

必要以上に治療を長引かせてしまう歯医者がいることは事実です。といっても、大半は悪意があるわけではなく、患者さんの口に虫歯を見つければ、自動的にそれを削って詰め物をして早く治すのが当然だと考えられてきたからです。

ただ、その考え方は少し古いかもしれません。

たとえば私が患者さんの口に虫歯を見つけたとしても、それが1本だけならまず削りません。3カ月から6カ月間様子を見て、進行していないのならそのままです。しかし、5本あったらすぐに治療を始めます。なぜなら、虫歯が5本もあるということは、その人の生活習慣そのものが虫歯を誘発していると考えられるからです。放っておけば虫歯はさらに悪化するでしょう。

このように、現代の歯医者は、かつてとは違って目の前の一本の歯を治療するだけではなく、その人の健康をトータルにとらえて治療のパッケージを提案するようになっています。もちろん歯医者にもよりますが、歯医者からのアドバイスは聞いて損はないと思うのです。

(構成=山口雅之 撮影=研壁秀俊)
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