19年の改正労働基準法施行で、高度プロフェッショナル制度が導入されました。高度な専門知識と一定水準以上の年収がある労働者について、労働時間や休日などの概念を外す制度です。この制度の導入の際に非常に多くの反対意見が寄せられたため、厳しい制約がついてしまいました。日本はなかなか成果主義には移行しづらいのです。しかし、いまは多くの企業が在宅勤務の体制をとっていますし、今後ワーケーションのような多様な働き方を実現するために、労働を時間ではなく成果で管理するようなシステムに変えなくてはならない局面に来ています。アフターコロナに勝ち残れるのは、そのような変化ができる企業でしょう。

そして、コロナ禍に関係なくどんな状況でも必要とされるのは、クリエイティブな仕事ができる人材です。ビッグデータやAIに仕事が置き換えられていく中で、それでもなお必要とされる人材が生き残るのは当然です。

アフターコロナに向けて、いま何をするべきなのか~竹中平蔵の提言~

▼日本政府へ
●国民への一律給付金等の対策を継続的に

直接給付は普通では考えられないことだが、コロナショックを乗り越えるにはそれが必要。例えばマスクを国民に配るのだから、それに小切手を同封できたはず。日本は極端にデジタルシフトへの腰が重い。まず10万円給付金を渡したら、その後はマイナンバーの所持を条件に追加の給付も検討していく。それにより、マイナンバーカードの普及率が上がり、業務の効率化がはかれる。
▼企業へ
●どこでも仕事ができる体制を

今後は都市の在り方に変化があるかもしれない。将来勝ち残る企業は、都市部に拠点を持ちつつも、社員がどこでも仕事ができる体制にし、ワーケーションの導入も積極的に進めるべき。
▼国民へ
●まずは家にいること

経済を回すには元気な人が必要。まずはしっかり家にいて、健康を維持することが日本の未来のためには大切。そして、いま家でやるべきことはデジタルツールの活用と習熟。コロナ後、AIに負けない人材になること。
このままだと日本には暗い未来しか待ち受けない。しかし、しっかり対策をたてれば、日本が再び世界の先端に立つ可能性がある!
(発言は2020年4月時点)
(構成=万亀すぱえ 撮影=村上庄吾 写真=時事通信フォト 図版作成=大橋昭一)
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