ソツがなくつまらない「慶應ボーイ」の実像

ところが、内面の魅力については、慶應ボーイとワセ男の評価は、完全に逆転する。「会話をしていて楽しい」「合コンに来てくれたら嬉しい」のはワセ男が慶應ボーイを圧倒。この辺りは、ワセ女と慶應ガールの評価にも、通じるものがある。

慶應ボーイは、「学歴や外見といった条件は揃っているが、当たり障りがなく面白くない」と、女性たちに見なされているのだ。そして、総合評価の結果、女性が選んだのは、慶應ボーイではなく、「見てくれはパッとしないけど、人間味が豊か」なワセ男なのだ。女性が、恋人にも「外見やお金よりも内面」を求めているというのは、興味深い事実だ。

慶應生には、「社会人のOB・OGとのつながりが強く社会人予備軍としての能力が備わり、万事ソツがないが、深い話ができない。まるで企業の広報と話しているようです」(前出のオバタさん)といった特徴があるという。モテ度アップを狙いたい慶應ボーイは、表面的な処世術を身につけたりするよりも、内面を磨くことを心がけたほうがいいのかもしれない。オバタさんは、こうも指摘する。

「実は、イケメンでお金持ちといった典型的な慶應ボーイは、学内でもほんの一握り。ところが、慶應男子の多くは、そうした世間のイメージに引きずられ、背伸びをしています。ゆえに、外見ばかりを追求して、中身が伴わなくなるのでしょう」

慶應生は、そろそろ現実とはかけ離れた「慶應ボーイの虚像」と決別しなければいけない。慶應ブランドに頼らずとも人を惹きつけられる、「生身の人間力」を磨かなければ、早稲田の背中は遠のくばかりだ。「早稲田よりは上」という意識が慶應大学にはある。しかし、人間としての魅力という観点では、そうしたプライドは変化を迫られている。

安田賢治
安田賢治(やすだ・けんじ)
大学通信 常務取締役
1983年に大学通信入社。以来、大学をはじめとするさまざまな教育関連の情報を、書籍・情報誌を通じて発信。
 

オバタカズユキ
オバタカズユキ
コラムニスト
著書は『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)などのほか、『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を監修。
 
(撮影=早坂卓也、石橋素幸)
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