中程度の歯周病なら、2カ月から3カ月ほど治療して、プラス1カ月で虫歯の治療。もう少しひどいと半年以上はかかります。だから早め早めに治療してほしいんです。できれば、かかりつけの歯医者さんを決めておいてください。初見だと現状把握からなので時間がかかりますが、かかりつけ医は治療の経歴がわかるので、治療方針を立てやすい。定期的に歯石取りと噛み合わせの調整などのメンテナンスをしていれば、早期の虫歯も発見しやすいですし、すぐに治せます。

治療に時間がかかるという点では、悪化した歯の本数が多いほど、単純に治療時間と通院回数がかかります。例えば1本に5回の治療がかかる症状なら、それが10本あれば50回の治療回数が必要になってきます。週に1度治療を受けたとしても、およそ1年かかる計算になってしまいます。

複数の歯の治療を同時に進める人は結構います。歯が極端にボロボロになって、「最後の前歯がダメになりそうで、我慢できなくなった」と、それこそ十何年ぶりかで治療に来たような方。多忙ゆえに治療を後回しにしてきた50代が多い印象です。稀に、子どもの頃に抱いた歯医者の悪印象ゆえに足が向かなかった、という人も。逆に、自ら定期的に、真面目に通ってくる方の歯はやっぱり立派です。

虫歯や歯周病が極端に多い人の特徴として「歯ぎしり」が挙げられます。歯科医なら、歯を見ただけで歯ぎしりがある人はわかります。犬歯が削れて独特の形状になっていて、きちんと歯を磨いていても、歯のトラブルが発生します。じゃあ、歯ぎしり自体を治せばいいのかというと、残念ですが難しいです。対策用のマウスピースもあるんですが、3カ月ほどで挫折してしまう人がほとんど。実際、寝るときに一生、マウスピースをつけて寝られるかというと、ちょっと難しいと思います。歯ぎしりをする人は、特に定期的にメンテナンスをしてください。

治療が長引く歯の状態ワースト5

抜歯しても、穴から膿が出続ける骨髄炎

虫歯や歯周病が原因で、最も時間がかかる症状は骨髄まで進行した炎症です。通常、虫歯や歯周病の細菌は、歯の表面や内部で増殖すると、骨への感染が起こらないよう骨を溶かすなどして防御します。そのため、治療は抜歯が中心となり、歯を抜くだけで、それ以上の感染が起こらず治癒します。

しかし、骨髄炎は虫歯や歯周病の細菌が骨にまで感染してしまう。骨の感染した部分を外科的に取り除く手術をしたり、細菌を殺す抗生物質を服用するなどして、完治までには数カ月から数年かかることもあります。私のところでも時々あるんですが、結局は手に負えなくなって、国立病院の歯科口腔外科の先生に紹介状を出します。