「人は睡眠や入浴時間などによって、実は消極的休養は日常生活で得られているのです。でも、積極的休養は意識しないとできません。音楽を聴いてちょっとリズムにのって体を動かしたり、おいしいものを食べに行ってもいいでしょう。体を動かすことで、筋肉が活発に働くと、唾液が出やすくなって味覚も研ぎ澄まされます。そうすると食事が楽しくおいしくなって、吸収率も高まります。“刺激”がリフレッシュ感を生み出し、その結果、疲れがとれやすくなるのだと考えられます」

とにかく連休で「新しいこと」にチャレンジするのもいい。精神科医の和田秀樹氏は「ブログや小説を書くなどのアウトプット」を提案する。

「40代から脳の前頭葉が縮みやすく、それによって知力や体力よりも、新しいものを生み出す発想力、柔軟性、機動力が低下しやすい。すると、“いつもの休日”を心地よく感じてしまう。しかしそういうワンパターンな活動では脳が全く使われず、もっと衰えてしまいます。いつもと違う著者の本を読む、新しい料理を作る、できるなら自分から世の中に発信するような活動をすると、前頭葉の刺激になって年とともに弱くなるクリエイティビティにも良い影響があるはずです」

自宅での食事も、外食要素を取り入れ“感覚刺激”を増やすことができる。

「いろいろな種類の生野菜に、ドレッシングや調味料を置いて自宅サラダバーを行うと、幅広い栄養素も摂取でき、肥満予防になります。サラダチキンやゆで卵を入れれば筋肉のもとにもなりますね。同様に、酢飯を作って何種類か刺身を用意すれば自作寿司に。食材やスープを変えて一人鍋を楽しむのもいいですね」(望月氏)

「休日に高尾山」で仕事がはかどる理由

もし外出自粛でなく通常の休みであれば、私がお勧めするのは山登り、それも本格的な登山では身体的負担が大きいため、片道30分、標高500メートル程度の「低山」を登ること。東京都内であれば「高尾山」が良いモデルだ。

実は、20代をピークに30歳を過ぎたあたりから毎年約1%ずつ筋肉が減少するのだが、それに伴って、疲れやすくなったりフットワークが重くなってしまう。低山を登ることは、平地を歩くよりも確実に、効率的に筋肉量を増やす。これまで8700人以上に運動指導を行ってきた信州大学医学部特任教授の能勢博氏に、筋肉量減少とともに疲れやすくなる仕組みを聞いた。

「筋肉の中には、ミトコンドリア(細胞の中に存在する小器官の1つ)が多く存在していて、体を動かすエネルギーを産生しています。ミトコンドリアは食事から摂取した糖質や脂肪酸などの栄養素と、呼吸で得られた酸素を燃やしているんですね。その機能が劣化すると、多くの活性酸素が生まれます。つまり加齢によって筋肉量が減少すると、ミトコンドリアの数も減って、酸化しやすい体になってしまうのです」