英語を英語として頭に取り込めるようになる
このトレーニングを繰り返すうちに、頭のなかで英語を日本語に変換することが面倒になってきます。そこまでくれば、英語を英語として頭に取り込めるようになるので、自然と会話もできるようになってくるはずです。
最近ではネットフリックスの作品も非常に役立ちます。海外の作品を1度日本語の字幕で見て、内容を把握したうえで、次は英語の字幕で見てみる。さらにステップアップするなら字幕なしで見ることです。1つの作品でもいいので、英語で理解できるまで何度も繰り返し見ることが重要だと思います。
また、私が英語の基礎を身に付けた参考書はきわめてスタンダードなものです。文法は『Next Stage 英文法・語法問題』、英単語は『英単語ターゲット』。どちらのシリーズも高校生が持っているものです。日本の英語教育は、よく読み書きに特化しすぎだと批判されることがありますが、英語を話す際にその能力は大きなアドバンテージになります。むしろそれがないと、基本も何もない、実用性のない英語力しか身に付かないのではないでしょうか。
私は沖縄生まれ、沖縄育ち。20年以上前の話ですが、10代の頃は地元の暴走族に入り、毎晩のように単車で暴走行為に明け暮れていました。そんな私がなぜ英語がペラペラになったのか。それは、いつも私たちを見にきていた米軍の娘との出会いがあったからです。彼女はある日、カタコトの日本語で、「後ろに乗せてほしい」と私に言いました。そこから、僕たちの交際はスタートしました。
彼女と一緒であれば、私でも基地の施設に入ることができた。夜な夜な、基地内のディスコに繰り出しては、彼女の友人たちと語り合いました。ふたりでイヤホンを片方ずつ着け、MDプレーヤーで彼女の好きな「スタンド・バイ・ミー」を聴きながら、チークダンスをよく踊りました。歌詞の意味が気になって、辞書で一つ一つ単語を調べました。
基地のなかには映画館もあった。でも、字幕も何もないのでまったくわからない。映画が終わった後、彼女が「どうだった?」と聞くので、気休めに「面白かったよ」と言うと、「嘘つくなよ、おまえの英語力では、こんなの理解できるはずがないよ!」と激怒する。
こんなことを真正面から言う日本人はいないので、圧倒されました。
彼女には、間違った表現、差別用語、省いていい文字なども教えてもらいました。たとえば「I love you」は「I love u」と書くのが向こうでは一般的です。そして、何よりも文化です。基地内のトイレは足元が高く開いており、なかの様子がわかるんです。黒人の軍人が、大便をしながらハンバーガーをモシャモシャと食べているのがとても衝撃的でした。教科書や参考書では、文化までは学ぶことができないのです。