また、新型コロナウイルスの感染拡大で、イベントの中止が相次いでいます。それに加えて「東京五輪の延期」により、イベント関連の企業の業績にも影響が出そうです。東京五輪に関しては、インフラ整備など開催までの需要については、ほとんど完了しているため建設関連はさほど影響が出ないですが、開催期間中の特需やインバウンドがいったん、見込みづらくなります。一方、「中止」ではなく「延期」により約1年後には開催される見通しであるため、引き続きCMなどは継続されることになります。広告代理店、テレビ局、セキュリティー会社、マーケティング会社などの業績への打撃が中止に比べて影響は小さいといえます。

東京五輪のオフィシャルサポーターである乃村工藝社は、延期の発表により不透明感が払拭された可能性から株価が下げ止まっています。同じような値動きをしているのが、ディスプレー大手の丹青社です。その他、東京五輪のスポーツ用品カテゴリーでゴールドパートナーであるアシックスやその他のスポーツ関連であるミズノなども、21年決定を好感し下げ止まっていますが、買い一巡後は上値が重くなる可能性もあります。

訪日客需要が長期間見込めないことが予想される

世界的に渡航制限がかかる中で、「インバウンド」関連株は今後、立ち上がりに時間がかかりそうです。日本政府観光局によると、20年2月の訪日外国人旅行者は、推計108万5100人で前年同月比58%もの記録的な減少でした。中国からの旅行者が8割以上減少するなど日本の観光への影響は、一段と深刻になっています。五輪延期に伴う経済損失として、宿泊業で約810億円、飲食サービス業で約590億円の売り上げ減少が見込まれます。訪日客需要が長期間見込めないことが予想され、特に厳しい状況に置かれています。

インバウンド関連の中核として、ドーミーイン事業でホテルを全国展開する共立メンテナンス、ロイヤルホテルなどのホテル関連株、観光客へルーターを貸し出しする「Wi-Fiレンタル」サービスを展開するビジョン、訪日客のみやげ需要を支えてきた寿スピリッツなどは厳しい状況が続く可能性があります。

観光客の戻りは鈍さが予想されます。その中で、あえてインバウンド関連として買い場を探すとするならば、JR東日本、東急、東武鉄道などの鉄道輸送株でしょう。リモートワーク、ロックダウンの可能性でいったん売られていますが、鉄道輸送株は景気変動の影響を受けにくい公共サービスの1つですので、いずれ値を戻す可能性が高いです。一方で、中国関連の建機最大手のコマツ、工作機械・NC装置最大手のファナックなどは厳しい状況が続いています。