まずリスニングは、自分がイメージしている音と、ネーティブスピーカーが発する音がズレて聞こえ、単語が認識できないという壁があります。これは回数をこなして慣れるしかありません。そこで私がやってきたのは、「コピーイング」という口真似です。発話者と同じぐらいのスピード、発音や声音、息継ぎに至るまでを真似て発声する方法で、その際に「こんな気持ちで言っている」「こういう情報を伝えようとしている」というのを、思い浮かべながら声に出していきます。

私はスティーブ・ジョブズの「Stay hungry, stay foolish」という有名なスピーチで練習しました。確かに自分が気に入ったものがあれば、それが一番楽しいですが、残り1カ月ならば『公式TOEIC Listening & Reading 問題集5』がお勧めです。ナレーターたちの発声を真似していけば、英語の発音に随分慣れていくでしょう。

もう1つリスニングの勉強法で効果的なのが「タイムアタック」です。先の公式問題集のパート4での練習がお勧めで、ストップウォッチで計りながら、できるだけ速く発声する練習を重ねます。本番のTOEICテストでは、大体1分間に200語ぐらいのスピードで話をしている設問がほとんどです。自分の口で1分間に200語以上の英文を発声できるようになれば、耳はもっと速く言葉に対応できるようになります。

コピーイングでリーディング対策

次にリーディングですが、文法的な部分で穴が残っている可能性があります。パート5が解き切れていないとか、パート6や7の文章の意味を正確に読み取れていない人が多いようです。

本番の1カ月前なら公式問題集の文章を、解説や日本語訳を読んで理解した後に、意味を思い浮かべながら文章を繰り返し音読します。見た瞬間に意味がわかるようになるまで繰り返しましょう。単語の使われ方や頻出の表現にも注目です。リーディング素材の音声が用意されている教材なら「コピーイング」をするのも効果的です。

こうしたリーディング対策の仕上げとして、「障害物音読」という練習もお勧めです。文章をコピーし、難しいと感じた箇所や覚えたい箇所をマーカーなどで塗りつぶしてしまい、その状態で音読してもスラスラ読めるかを確認する練習です。

本番直前の1週間前くらいからは、新しい素材に取り組むよりはそれまでに使用した素材を使ってさらに英文に慣れるようにしましょう。改めて「コピーイング」「タイムアタック」「障害物音読」などを行い、英文を定着させましょう。音声を1.2倍、1.3倍、1.5倍などの高速で再生して意味をとらえる練習も効果的です。