押さえるべき年号なんて200個くらい

なんとなく流れを覚えているだけでは、日清戦争と日露戦争の時系列が逆になったり、ロシア革命とソ連崩壊が逆転したりします。私が大学で教えた中には、第1次世界大戦と第2次世界大戦の時系列が逆転していた学生がいました。年号は決定的に重要です。ただし元号で覚える必要はなく、西暦だけで十分。さらに押さえるべき年号なんて200個くらいですから、大した量ではありません。

歴史の勉強で大切なのは、必ず通史を読むことです。新書はワンテーマなので読みやすいですが、断片的な知識はつくものの通史的な勉強にはなりません。歴史を楽しむための、小説の延長線上と捉えるべきです。

本格的に学ぶのであれば、大学で日本史を専攻する学生が読むレベルの本を読むことです。専門書であっても、著者の見解が極端に偏っていないものが望ましい。『岩波講座 日本通史』(全21巻、別巻4巻)や『岩波講座 日本歴史』(全26巻)がおすすめです。読み物として手に取りやすく、なおかつ詳しいのは、中公文庫の『日本の歴史』(全26巻+別巻)です。しかしどれも長すぎます。本気で取り組むと、1年半から2年はかかってしまう。

忙しいビジネスパーソンにとって、時間は有限です。まして日本史の専門家になるわけではないので、必要な範囲でミニマムな勉強をするという制約を設けておくべきです。

新もういちど読む山川日本史』(山川出版社)は、高校の日本史教科書を一般向けに書き直した通史です。読みやすいですが、情報量は少ない。『いっきに学び直す日本史』(東洋経済新報社)は、私が企画・編集・解説を担当した本で、大学入試が一番難しかった頃の学習参考書を改訂したものです。「古代・中世・近世編」と「近代・現代編」の2冊に分かれています。内容が正確で、解説もていねいです。

世界史との関連も、わかりやすく書かれています。我々に必要な世界史は、近現代史です。アレクサンドロス大王やエピクロスについて詳しく知らなくても支障ありませんが、ルーズベルトやスターリンについて知らないのは問題です。通常のビジネスパーソンには、このボリュームで十分だと思います。膨大な量の勉強に挑戦して消化できないのが、一番よくないのです。『新もういちど読む山川日本史』がミニマムで、『いっきに学び直す日本史』がマキシマム。その幅は比較的狭いです。

日本史をきちんと勉強しておくと、自分の会社や他社の社史を読んだときも、すっと頭に入ります。どういう状況の下、業績が発展し、あるいは逆風が吹いたのか理解できるからです。

日清戦争から現在の日中関係を読み解く
(構成=石井謙一郎 撮影=小倉和徳、村上庄吾 写真=時事通信フォト)
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