漢方では、透明な鼻水がポタポタするのは“体が冷えた状態”に多いとされる。小青竜湯を飲むと、気道や肺が温められ、体にたまった余分な水分が取れ、10~15分ほどで症状が改善されることが多い。

そんなに早く効くの? と思う人もいるに違いない。そう、実は漢方薬には小青竜湯のように、西洋薬を上回る即効性を持つものがあるのだ。服用後10分程度で吸収が始まり、1時間ほどで血中濃度がピークになる成分を含むものが少なくない。

井齋医師によると「漢方薬はもともと急性期の熱性疾患を標的に開発されたもの」という。井齋医師は日本外科学会認定登録医という西洋医の立場でありつつ、日本東洋医学会専門医・指導医で漢方薬を科学的にシンプルに利用する方法を推進している。

ただし注意点として小青竜湯に含まれる生薬(麻黄)はエフェドリンという成分を含み、動悸や血圧上昇などの副作用が起きる可能性がある。高血圧症や不整脈があったり、狭心症、心筋梗塞の病歴がある人は気をつけたほうがいい。修琴堂大塚医院院長の渡辺賢治医師は代わりに「小青竜湯に比べて副作用が少ないものとして『麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう』、エフェドリン(麻黄)を含まない漢方薬としては『苓甘姜味辛夏仁湯りょうかんきょうみしんげにんとう』」を挙げる。どちらも小青竜湯よりはやや劣ってマイルドな効き目ではあるものの、胃腸にも優しい。

また、花粉症で目がかゆくなったり痛くなったりして、目を開けて作業ができないときは「越婢加朮湯えっぴかじゅっとう」を。

「越婢加朮湯は、初期の関節リウマチのような熱を持つ関節の炎症や、膝から下のむくみを訴える人によく処方されますが、花粉症で目が真っ赤に充血している状態にも効果を発揮します」(井齋医師)

近年、効果に期待大!“酸っぱい”もの

さて次に、食べものの話。最近、「じゃばら」という果実が花粉症の症状緩和に効果があるといわれている。じゃばらは和歌山県の北山村が原産で、ゆずやカボスの仲間という。岐阜大学の調査によると、花粉症の症状がある男女15人に、じゃばら果汁5ミリリットルを朝、夕2回、2~4週間にわたって摂取してもらったところ症状が改善したと報告されている。

鍵となるのが、じゃばらに含まれる「ナリルチン」という成分。フラボノイド(ポリフェノール)の一種で、“抗炎症”作用がある成分だ。管理栄養士の望月理恵子氏に詳しく聞いた。

「ナリルチンはヒスタミンの分泌を抑制し、アレルギー症状を緩和するようです。グレープフルーツやゆず、すだち、伊予柑など多くの柑橘類に含まれますが、圧倒的に豊富なのはじゃばら。特に皮に多く含まれるので、皮ごとの摂取がお勧めです。皮を刻んでサラダに加える、お刺し身を食べる際の醤油や、紅茶に皮をすって入れるなどするといいでしょう。子供の場合は皮ごとすりおろし、ジュースにして甘みを足すと飲みやすいと思います」