「活動の最中に帰ってもペナルティがなければ、拘束されているわけではないため、使用従属性がなくボランティアといえます。逆に『無責任だ。帰るな』と無理に引き留められたら労働者性が増します」

募集要項によると、活動時間は1日8時間程度。時間が決まっていると拘束性がある気がするが……。

「組織委員会もボランティアを選ぶ権利はあります。だから事前に条件を提示するのは問題ない。ただ、選考後に辞められたり途中で帰られても文句は言えない。だからこそ、拘束可能なアルバイトを有償で雇うに至ったのでしょう」

炎天下の活動で熱中症になったら……

使用従属性を左右する別の要素に、対価の有無・程度がある。報酬が出れば、労働者性は高くなる。大会ボランティアは無償。ただ、交通費として1日1000円のプリペイドカードが支給される。

「交通費名目でもお金を受け取れば有償ボランティア。有償ボランティアは法的にグレーで、本当は無償のほうがすっきりします。交通費支給はブラック批判に対する苦肉の策だと思いますが、かえって労働者性が増しましたね」

労働者ではなくボランティアだったとして、気になるのは熱中症で倒れるなどのトラブルに見舞われたときだ。

「労働者ではないので労災は適用されません。ただ、労働者として特別に保護されないものの、原則に戻って民法の法理で判断されます。組織委員会に過失があれば、損害賠償請求は可能です」

大会の成否はボランティアにかかっている。組織委員会には、ボランティアがモヤモヤせず、気持ちよく活動できる環境をぜひつくってもらいたいところだ。

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(コメンテーター=QUEST法律事務所 住川佳祐 図版作成=大橋昭一)