「食堂のランチは豚のエサか」日産幹部が目撃していたカルロス・ゴーンの「裏の顔」(井上 久男)

レバノンに逃亡したカルロス・ゴーンの原点はここにあった。「日産・ルノー提携」の特ダネを1999年にスクープして以来、ゴーンを見つめてきたジャーナリストが、その栄光と墜落の軌跡、そして日産社内の権力闘争の実態をあますところなく描いた経済ノンフィクション『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』(文春新書)。

倒産寸前まで追い込まれた日産にルノーから送り込まれたゴーンは、トップ就任からわずか1年半後、「日産リバイバルプラン」をもとに過去最高益を叩き出す。だが、ゴーンには別の顔があった。寵愛する「チルドレン」で配下を固め、意見する者は容赦なく飛ばす。そして、会社の私物化した公私混同のエピソードは枚挙に暇がない。

独裁、ゴマスリ、権力闘争……強欲と収奪の内幕を克明に描くノンフィクションから、一部を抜粋して転載する。

2019年4月25日、再保釈され東京拘置所を出るカルロス・ゴーン被告 ©AFLO

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ゴーンに反論すると「Don't teach me!(俺に説教するな!)」

ゴーンが来日以来変わっていないことは、自分の指示通り黙って従う有能な部下を優遇することだ。ゴーンのイエスマンとして仕えた多くの役員は、ストックオプションを付与されるなどしてかなりの財を成した。

「志賀(俊之)と並んで寵愛を受けていた象徴的な存在が、2004年から2年間、日産共同会長を務めた小枝至さんだ。相当な報酬を受け取り、退任後も相談役を務めながら不動産業を営んでいる。ゴーンはコスト削減など『汚れ仕事』をすべて小枝さんに任せた。また小枝さんもそれに応えた。リストラで痛めつけられた部品メーカーは、ゴーンというよりも、その手先となって意のままに動く小枝さんを恨んでいた」(日産元役員)

一方で、有能であっても自分に意見する部下に対しては、高圧的な態度で接し、会社から追い出した。

かつて日産の中枢に在籍したOBはこう語った。

「クルマ造りについてゴーンと意見が合わず反論すると、『Don't teach me!(俺に説教するな!)』と必ず言われた。何度も言うと、今度は、『Never teach me!(二度と説教するな!)』に変わる。

自分に苦言を呈する人間に対しては、徹底的に否定する。ずっとそれをやられているとゴーンの言うとおりにやるのがラクになってしまう。優秀でも意見を言うタイプは自ら辞表を書いて会社を去るか、ゴーンに左遷された」