江戸時代の日本は「ソロ社会」だった

「実は歴史を振り返ると、江戸時代の日本はある意味ソロ社会でした」と荒川氏は解説する。

「江戸時代には生涯未婚者は、都市にも農村にも多かったし、明治維新から高度経済成長期の皆婚時代のほうがむしろ異常です。でもファミリー層は、自分たちこそが標準だと思っているため、自分の領域が侵食されていると恐れているんです」

荒川和久『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックス)

だがソロ化の波は、実はファミリー層の生活にも押し寄せている。「今、一家揃って夕食を食べる家庭がどれほどあるでしょう。望むと望まざるとにかかわらず、みんな意外と『ソロ飯』していませんか」と荒川氏は問いかける。

さらには、今は家庭を築いている人も、子供が巣立ったり配偶者と離死別したりすれば、誰もが本格的にソロに戻る可能性がある。「健康不安が出てくる50~60代の既婚男性は、奥さんがいなくなったら生きていけるのかと怯えている。介護問題にしても、頼りになるのが家族だけでは心もとないはずです」。

家庭を築けば安心だとする人を、荒川氏は「タイタニック号」の乗客に喩える。

「沈没することをまったく想定していないので、泳ぐ練習もせず、外に出ようともしない。社会のソロ化という『波』が迫っているわけですから、そうした未来に適応していったほうがいいのです」

荒川和久
独身研究家
博報堂ソロもんラボ・リーダー。早稲田大学法学部卒業。独身生活者研究の第一人者として幅広いメディアで活動中。