女性だけでオペレーションを回す

大きなフードトラックを運転し、力仕事も多く、雨の日も風の日も、接客しながらチキンを揚げて盛り付けをし、大行列のお客さんをさばくのは重労働だ。しかし男性が多いフードトラック業界では珍しく、現在のFLAPPERのスタッフは全員女性。「面接には男性も来ますが、今のスタッフが全員女性だと言うと辞退しちゃうんですよ」と国弘さんは言う。

忙しくても、接客中は笑顔を絶やさない。

社名のFLAPPERは、古い価値観を嫌って自由に生きていた女性を指すアメリカのスラングだ。社名を地でいく自由でフラットな社風で、代表の清さん、国弘さんも「『代表』というよりも同じスタッフとして扱われています。誰も敬語を使ってこないし、みんな厳しい意見もどんどん言ってくる(笑)」(清さん)。

スタッフ一人ひとりに任される裁量の範囲も広く、通常1人か2人で現場に向かうが、一人で行くかどうかは自分で決める。またそれぞれが現場に持っていく米の量、モチコチキンをPRするPOPの書き方、細かいオペレーションの仕方など、すべて現場のスタッフに任せている。「スタッフはみんな、びっくりするぐらい負けず嫌い。200食売っても、『もっと売れたはずなのに』と反省しているんですよ」と清さんは話す。

1日で辞めてしまう人もいる

裁量の範囲が広いうえ、売った分だけの歩合が給料に上乗せされるので、頑張れば頑張っただけ見返りがある。そんな働き方が好きな人にはぴったりの職場だ。しかし「合う、合わないがあるようで、採用して1日2日で辞めてしまう人も多い」と清さん。さらにペーパードライバーの場合は、一人前に育てるのに1年はかける。事業が拡大している今、最大の課題は、「人を増やすこと」と2人は声を揃える。

人を増やして、「モチコチキンといえばFLAPPER」と言われるくらいにしていきたいと語る2人。

清さんは、将来も路面店を出すことはまったく考えていないと言う。「フードトラックの飲食業には、メリットしかありません。土地に縛られないので、売れなかったら違う場所に行けばいいだけですし」。そして将来は、「『モチコチキンといえばFLAPPER』と言われるくらいになりたいです。そのためには、もっとフードトラックを増やして、いろんな場所で食べてもらえるようにしないと」(清さん)と夢は膨らむ。

文=大井明子