将来のために行動する

預貯金に励んでいれば利息でお金が増え、公的年金と貯蓄で人生を全うすることが可能だったのは20世紀まで。21世紀に入って以降、銀行預金にしても利息はずっと実質ゼロで、お金は新たなお金を産んでくれなくなって久しく、その中でどうやって豊かな将来に備えれば良いのか。「iDeCo」と「つみたてNISA」は、豊かな将来に備えるための資産を生活者自らも育てていくならば、その補助をするという政府からの意思表示です。両制度をしっかり活用してまっとうな長期資産形成を行うことは将来の自分のためなのです。

「つみたてNISA」の制度化に辣腕(らつわん)を振るった森信親前金融庁長官は、両制度を通じて300兆円規模の預貯金をまっとうな長期投資マネーに換えていきたい、と仰っていました。机上の計算ですが、ゼロ金利の300兆円が世界経済の中で育つと仮定します。世界の経済成長率は少なくとも3%程度は継続すると期待した場合、300兆円から年間3%のリターンが生み出されたなら、9兆円の新たな富が創出されます。「つみたてNISA」は現行制度でも20年継続するので、20年間の累計リターンは180兆円です。そして本来政府はそこからざっと2割を税金徴収するのですが、それが非課税で国民に還元されるとすると、36兆円もの税収を締めるほどの重要な制度なのだと気付くはずです。

大事なことは、こうしたリターンはすべて、これら制度に参加した生活者にのみに還元されて、参加しなかった人には一切享受できないリターンだということです。これに気付いたプレジデントウーマン読者の皆さんは、しっかりと行動を起こしてくださいね!

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