甲子園常連校の監督は「仲良くしろ」と言わない

リーダーが強く認識しなければならないことは、いまそれぞれが与えられた責務を一生懸命果たしていこうとする活動自体が、その職場において和が形成される最短ルートである、ということ。甲子園常連校など強いスポーツチームの監督は選手たちに「仲良くしろ」という指導をしているでしょうか。答えは否ですね。部活経験のある人は思い出していただきたいのですが、部活では仲良くするための時間を設けません。

しかし、一緒につらい練習を乗り越えたときに、結果的に誰よりも仲がいい関係になったという経験をしている人は多いと思います。結果を出すことが先で、和は後にできるということであり、優秀なリーダーは仲のいい組織形成を「目的」にしないのです。

スポーツと会社は違うという意見もあるでしょうが、目的をもって集合し、個々が役割責任を全うすることで競争に勝つ、目標を達成する、という意味ではスポーツのチームも会社も同じ組織といえます。リーダーが和を形成する施策や言動を繰り返し体現していなくても、高校球児には確実に「和」が形成されている。これはまさに①パフォーマンス向上、を追及した結果として②和ができている証拠です。

ギスギスか切磋琢磨か

それでも、人間関係が良い方がいい、それは否定しません。ただし、ギスギスしているように見える職場でも、それぞれが自分の責任を果たすにあたり必要以上のコミュニケーションをとっていないというだけなら全く問題ありません。これはギスギスではなく「切磋琢磨」。お互いの職責を全うする過程で真剣であればあるほどぶつかることもありますから、むしろ組織はパフォーマンス向上に邁進していると思ってよいわけです。

繰り返しになりますが、ギスギスしているように見える状態が続いても、組織というものは目標を達成したときに、それまで経験したことがないような仲がいい状態になっていくものです。集団で目標を追及し、成果を得た経験のある方は理解できることだと思います。

どうしても、仲のよい人間関係を築きたければ社外でよいのではないでしょうか。