服選びの基準は「モテ」より「自分」

【原田】次に知りたいのは、服を選ぶときに誰の目を意識するかということ。男子の目か女子の目か、それとも自己満足か。

【Eさん】完全に自己満足です。ファッションに関しては、誰の目も意識したことがないですね。彼氏から「こういうの着たら?」と言われることもあるけど、何を言われても自分が着たい服はそのときどきで決まっているから。もちろん、少しでも彼に好かれたいという気持ちはあります。しかし、自分が好みでない服を買うと彼に会わない日は絶対着なくなるし、服もお金ももったいないと思うので、私は自分の好みを優先するようにしています。

「自分の好きなファッションを楽しめないのが一番ダサい」とAさん(左)。

【Aさん】私も。周りの人のファッションから影響を受けることはあっても、どう見られるかを気にすることはないですね。自分で似合うと思ったら着ちゃう、みたいな。どう見られるかを気にしすぎて自分の好きなファッションを楽しめないのが一番「ダサい」と思うからです。ファッションは私の趣味の一部でもあるので、その日の気分などに合わせて自分の好きな服装、自分が似合っていると思う服装をすることが一番楽しいです。

【Fさん】私は彼氏の目は気にするかな。かわいいって言われたいから、彼の好みに合わせて自分の好みとは違う服を着ることはあります。彼氏と会わないときは完全に自己満足(笑)。

男性の目からも女性の目からも自由

【原田】今から10年くらい前、あるファッションビルの会社の方にインタビューしたら、「ある時期から女性が、男目より女目を気にするようになったタイミングがあった」という話をしていました。つまり、昭和の女性は洋服選びの際に「男目」を気にする人が多かったけど、女性が働く時代になり、平成のある時期から「男目」よりも「女目」を重視するようになった、ということだそうです。あれから10年が経ち、今はさらに女性が「女目」よりも「自分目」を重視するようになってきているのかもしれないね。

個人の幸福という意味ではとても良いことのような気もするし、なんだか若者の間で恋愛離れが進むのも分かる気もする。

では、男子はどうかな? 周りの女子にモテたい気持ちはあるでしょう?

モテたいというほどではないが、好感度をマイナスにしたくないというBくん

【Bくん】うーん、周りの女子におかしいとか変とか言われない程度の格好はしたいと思っていますけど……。本当におしゃれな人って世の中にたくさんいると思うので、そうした人たちに僕は到底勝てない。「モテたい」まではいかないけど、好感度をマイナスにはしたくないので、その点では女子の目を意識して。

【Dくん】僕は100%自己満足ですね。自分の服を分かってくれる人にだけモテればうれしいので、趣味が違う人に変だと思われても気にしません。僕のファッションを気に入って寄ってきてくれる人となら、絶対に話も合うし一緒にいて楽しいはず。これからもこのまま自分の道を突き進むつもりです。

【原田】なるほど。「脱ゆとり世代」の皆は、普段から僕も皆と接していて感じるけど、男女ともに個人主義化が進んでいるね。だから、あまり人の目を気にせず、自分の内なる満足度を重視するようになってきている気がします。もちろん、BくんやCさんのように「好感度がマイナスにならない程度に」っていう最低限の部分は考えた上での話なんだろうけど。

さて、次回は今の若者から見た「おじさん・おばさん」のファッションについて聞いていきます。痛い服装や逆に好感を持てる服装など、若者たちの本音を紹介します。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com