長期的視点をもって「継続」を大切に

私の周りにも、実力はあるのに意欲の面で物足りなさを感じさせる人がいます。少し視点を変えるだけで大きく成長できるのに、もったいないなぁと思いますね。そんな時は、こちらの期待を知ってもらうために声をかけたり、セミナーに誘ったりしています。経験から言えば、社外の人やカリスマ的な人の講演を聞いてもらうと、意識が変わることが多いように思います。

そして最後のステップは「実施」です。これが終わったら、例え出席者が少なくてもあきらめず、また第1ステップから繰り返してください。意識改革を目的としたセミナーで、最も大事なのは「続けること」です。人数を増やすことを目標にせず、質を追求していきましょう。続けるうちに、きっと「あのセミナーいいね」と言ってくれる人が増えていくはずです。

私は1年ほど前から、CSR/CSVの考え方を社内に広めようと活動を続けています。始めたきっかけは、今後は社会課題の解決に取り組まない企業は生き残れないだろうと危機感を抱いたから。親しみやすいパンフレットを製作し、これを使って部署ごとにワークショップを実施してもらっていますが、なかなか思うように広まりません。それでも、危機感に対しては賛同者が増えてきた実感があります。今後も、長期的視点をもって取り組んでいくつもりです。

ある考え方を人にのみ込ませ、行動に移させるというのは大変なこと。人の意識は1回や2回のセミナーでは変わりません。すぐに結果が出るものではないので、1回ごとに一喜一憂する必要はないと思います。つらいときは有志の皆さんや同僚に話して、1人で抱え込まないようにしましょう。そして今の志を忘れずに、このすばらしい取り組みをぜひ続けてください。

鈴木 久美子(すずき・くみこ)
サンスターグループ コーポレートマネジメント アジア-日本ブロック執行役員
1983年に短大を卒業後、サンスター入社。人事、総務、広報などスタッフ部門に携わる。2018年より現職。現在、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科にて、個人がよりよいキャリアを築くためのプロセスを研究中。

写真=iStock.com 辻村洋子=構成