人の知能はIQのような単一のものではなく8つある。ハーバード大学の心理学者が書いた人が持つ「8つの知能」に関する著書を翻訳し、日本に紹介した関西大学教授の松村暢隆さんは、「日本の学校教育の現場では、子供の個性に合わない学習方法を強いられている可能性が高い」という。8つの知能に適した学習法を紹介しよう――。
プレジデントFamily2019春号』では、「8タイプ別 才能を120%発揮する学び方」を詳しくリポート。イラスト=fancomi

子供の個性に合わない学習方法を強いられる可能性がある

学校の勉強が苦手なわが子に対して、つい「ウチの子は努力が足りない」とか、「頭が出来が悪い」とか考えてしまう親は少なくない。しかし、実際はそうではなく、単に学習方法に問題がある場合も多い。

プレジデントFamily2019春号」では、関西大学文学部教授の松村暢隆さんに取材した。松村さんによれば、いまの日本の学校教育では、その子の個性に合わない学習方法を強いられている可能性が高いというのだ。

松村さんは、2001年にハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー博士の著書『MI:個性を生かす多重知能の理論』を翻訳し、日本に紹介した。学校で子供の個性にあわせて才能を伸ばす「才能教育」の第一人者だ。

「ガードナー博士は、人の知能はIQのような単一のものではなく、8つあると提唱しました。人はこれらの知能を複合的に使っていて、それらの凸凹によって個性が決まるということから『多重知能(Multiple Intelligences=以下MI)』理論と呼ばれています。そして、8つの知能のうちどれが高いかの違いは、物事を学ぶ際の個性としてあらわれます。つまり、得意とする学び方にも違いがあるのです」

知能はIQのような単一のものではなく、8つある

8つの知能の概要は次の通りだ。

<8つの知能>
言語的知能……文字や言語を処理する能力が高く、読み書きが得意
論理数学的知能……物事の筋道を考えたり、因果関係を見つけたりすることが得意
音楽的知能……リズム感や音感がよく、音程やハーモニーを理解することは得意
身体運動的知能……運動能力が高く、体をコントロールすることが得意
空間的知能……空間を的確に認識する能力が高い
対人的知能……他者の気持ちや感情を理解し、良好な関係を築く能力が高い
内省的知能……自分の内面に向き合い、思索したり、表現したりする能力が高い
博物的知能……自然について理解したり、識別したりする能力が高い

たとえば、言語的知能が高い子は「言葉による学習」が得意で、空間的知能が高い子は「絵や図などにビジュアル化すると理解しやすい」といった違いがある。これが学校で提供される指導方法とマッチしないと、結果的に勉強につまずいたり、自分に自信を持って能力を伸ばしたりすることができなくなる。

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