結果主義の風土ほど消えづらいセクハラとパワハラ

彼女たちの言葉からは、#MeTooムーブメントがあってもなお、日本企業の多くの職場においてハラスメントが日常的に行われていることがうかがい知れます。

それでは彼らをセクハラに駆り立てるものはなんなのでしょうか?

白河 桃子『ハラスメントの境界線-セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(中央公論新社)

イリノイ州立大学の、セクハラ研究のパイオニアといわれるジョン・プライヤー教授は、ワシントンポストの記事の中で、セクハラをする人には3つの共通した特徴があると述べている。3つとは、①共感力の欠如、②伝統的な性別の役割分担を信じている、③優越感・権威主義だ。そのうえで、プライヤー教授は「(セクハラを行う人を)とりまく環境も大きく影響している」と指摘している。

そうした傾向のある人を、そういったことが許される環境に置けば、歯止めが利かない。Impunity(免責状態)にあることが、(セクハラを行うか行わないかに)大きく関連する(※)

(※)岡本純子「エリート官僚がセクハラを否定する思考回路」「東洋経済オンライン」2018年4月24日

許される環境(免責状態)とは、「業績が良ければすべてが許される」という風土がある職場ですね。彼らがセクハラだけでなくパワハラ常習者であることも不思議はありません。このパワハラ上司も「共感力の欠如」「権威主義」の特徴を備えています。

男性からは「女性のため」に見える#MeTooですが、実は「セクハラのない環境」は「パワハラのない環境」にも通じる。自分たちもパワハラを受けなくなるのなら、今の変化は男性にも朗報なのです。

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