ワンピース型を使用するのは、主に「インプラント初心者」の歯科医が多い。経験を積んでいる歯科医なら、ツーピース型を使用するはずだ。

今、世界的なテーマとなっているのが「インプラント周囲炎」。歯周病と同様の症状が起きて、最悪の場合はインプラントが脱落する。進行が早く、有効な治療法も現段階ではない。定期的なメンテナンスの怠りや、不適切なセルフケアが原因だ。

世界2大ブランドとされるインプラント・メーカーのコピー品の流通も起きている。2大メーカーの単価は、10万~20万円するが、韓国製のコピー品なら数千円。X線画像では真贋の見分けがつかないので、一部の歯科医が使用しているという。知らないのは、患者だけだ。

感染予防1▼歯科医の5割が、口に入れる器具を使いまわす

感染予防の観点から、患者の体液に触れる治療器具は、使い捨てか、洗浄後にオートクレーブという高圧蒸気滅菌装置で処理する。これが医療現場の大原則だが、感染予防に対する、歯科業界の意識は極めて低いとしか言いようがない。

口の中に入れるハンドピース。5割の医師が使いまわす。

例えば、歯を削る器具の持ち手部分の「ハンドピース」は、表面だけでなく、複雑な構造の内部にも、患者の唾液や血液が付着する。

厚労省研究班が、歯科医1000人を対象に行った調査(16年度)によると、使用済みハンドピースを、患者ごとに替えると回答した歯科医は、52%。半数の歯科医が使いまわしていることになる。「1本約10万円のハンドピースは、簡単に増やせない」という声も聞いた。

日本歯科医師会の担当理事(16年当時)は、私の取材に対して驚くべき弁明をした。

「削って汚れたものを、そのまま使いまわしていると誤解されているが違う。アルコールで消毒するし、綺麗にフラッシングしている」

アルコールではB型肝炎ウイルスは死滅しない。フラッシングとは、ハンドピースの空回しで内部の滞留物を排出する方法だが、感染予防としては明らかに不十分だ。

最近は患者の目の前で、治療器具が入った滅菌パックを開封するクリニックが多い。これは感染予防の徹底を無言のうちに伝えているのだ。

感染予防2▼世界標準を守らない歯科医の持論

「スタンダードプリコーション」とは、すべての患者の血液、体液、吐瀉物、排泄物などは、感染リスクがあるとして取り扱わなければならないという考え方だ。世界標準となっている、感染予防の概念である。

差別を恐れて感染を隠す人や、自身の感染を知らない人もいる。96年、アメリカのCDC(疾病管理予防センター)が提唱した。