5年以内に世界経済は未曽有の不況に陥る

正直なところ、世界経済は終わりに近づいています。その前にもう一度、良い感じで上向くかもしれませんが。欧州、南米、アフリカの一部やオーストラリアの株価は、すでに頭打ちになっており、シンガポールや中国も同様です。世界経済は5年以内に、未曽有の不況に陥ると思っています。2008年のリーマンショックの時点で、すでに世界の国々は借金を大量に抱えていましたが、その後も借金は膨らむ一方です。米国の中央銀行であるFRBは、たった11年で500パーセント以上も(借金を増やして)バランスシートを拡大させている。

ジム・ロジャーズ著、大野和基訳『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)

そんななかでも、明るい投資先はあります。仮想通貨はやがて価値がなくなると予想していますが、ブロックチェーンはとても有望です。AIとともに、世の中を変えていくでしょう。農業は、世界のどこでも有望です。アジアの観光業もいいですね。パスポートの取得が簡単になって、多くの中国人が海外旅行を楽しむようになり、特に日本などの近隣諸国が人気です。

日本は、外国人に対してもっとオープンになったほうがいいですね。いまだに、海外で発行されたクレジットカードを使えないところがあるんですから。すべてがハイクオリティで食べ物がおいしいので、公用語が中国語なら住みたいくらい日本が好きです。でも、やがてやってくる中国のさらなる台頭を考えて、娘たちが将来困らないようにしてあげたいので、今は中国語の環境に身を置くことが最優先なんです。

インタビュー、構成=原賀 真紀子  撮影=澁谷高晴