東日本と西日本は文化が異なる。それは食文化や言葉遣いだけでなく、葬送のしきたりにも及ぶ。僧侶(浄土宗)でジャーナリストの鵜飼秀徳氏は「東京では火葬後、すべての骨を拾いますが、私が暮らす京都では一部のみ拾骨し、残りの骨は火葬場に置いて帰る」という。なぜそこまで違うのか――。

チコちゃんに叱られて、改めて気づいた「東西分断」

正月、テレビ番組をザッピングしていると思わず、ボタンを押す指が止まった。NHKの人気教養番組「チコちゃんに叱られる」で、チコちゃんが「お雑煮の“雑”は何か?」という問いに対して「内臓の“臓”に由来する」と回答したシーンであった。

番組によれば、雑煮の歴史は室町時代にまでさかのぼるという。五穀を神に供え、そのお下がりを煮て食べていた風習が雑煮の起源だ。煮物は五臓六腑を温めてくれることから、いつしか語源が転じ、雑煮と字が当てられるようになった。

私は昨年、東京から京都にUターンしてきた。なので、東京と京都の雑煮の両方の味を知っている。東京の雑煮はすまし汁に角餅を入れるのが定番。一方の京都(関西)は白味噌に丸餅である。私は白味噌がどうも苦手なので、妻にはすまし汁の雑煮にしてもらっているが、餅は丸餅だ。東と西とでは食文化は、大きく異なる。

関東風のすまし汁をベースにした雑煮

東と西では、文化・習俗に大きな隔たり

食だけではない。東日本と西日本の間には、文化・習俗に大きな隔たりがある。

実は東日本と西日本の境界は、あやふやだ。

例えば、気象庁の気象情報では北陸、中部、東海より東が東日本とされている。

しかし、藤岡換太郎『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』(講談社ブルーバックス)によれば、地質学的には日本列島は、フォッサマグナ(新潟県糸魚川市―同県高田平野付近から、静岡県静岡市清水区―神奈川県足柄平野付近のベルト状地帯)を境にして、東西がわかれるという。

フォッサマグナの西側の境界である「糸魚川静岡構造線」を境にして、東日本と西日本とを区別することもある。

この糸魚川静岡構造線の近くに設定されているのが電源周波数の境目だ。東側は50ヘルツ、西側は60ヘルツである。また、NTT東日本・西日本のすみ分けは新潟・長野・山梨・神奈川以東がNTT東である。こちらもフォッサマグナとも重なる。