次々にスクープを出しても部数下落に歯止めがかからない

出版界に衝撃が走った。

日本ABC協会(新聞・雑誌の実売部数を調査する第三者機関)が2018年1月から6月までの雑誌販売部数を発表したが、主だった週刊誌の部数が想定外のひどさだったのだ。

週刊文春は週刊誌1位の座を守ったが、33万5656部で、前年同期比90.13%。これは前任者の新谷学編集長がいた時だから、次々にスクープを発信しても、部数の下落に歯止めはかけられなかった。2位は週刊新潮。ここは前年同期比で101.64%と唯一部数を伸ばし25万1403部。

2018年10月31日、参議院本会議で、週刊文春が報じた「口利き」疑惑について陳謝する片山さつき地方創生担当相。(写真=時事通信フォト)

その次に異変が起きた。3位に週刊ポストが入ったのである。21万1336部で前年同期比97.24%。そのポストに抜かれたのが週刊現代である。前年同期比で79.15%、発行部数は20万9025部まで落ち込んだ。

現代はポストと並んで、老人健康雑誌に特化した誌面づくりを推し進めてきた。ポストにはその効果が出たようだが、反対に現代はポストに食われ、部数を急降下させてしまったのである。

基本的な雑誌作りの編集方針に問題があるのではないか

フライデーは9万2112部で前年同期比73.06%と、こちらも大幅減である。現代、フライデーの発行元は講談社。基本的な雑誌作りの編集方針に問題があるのではないのか。

週刊プレイボーイが7万9675部で前年同期比は92.01%、週刊朝日が7万7451部で前年同期比は94.26%、サンデー毎日は4万3607部、同期比は86.25%。毎日はもはや同人誌の域である。

だいぶ前になるが、週刊読売が『読売ウイークリー』と誌名を変えたがうまくいかなかったとき、読売の幹部氏にこういったことがある。「週刊誌を新聞のおまけとして配ればいい。そうすれば一夜にして1000万部の週刊誌ができるではないか」。数は力。そうなれば広告も入る。優秀な新聞記者たちを編集部兼務にして書かせれば、原稿料や人件費はそれほどかからない。

その幹部氏はうなずいていたが、それから程なくして『読売ウイークリー』は休刊してしまった。

かつては国民雑誌といわれた月刊誌・文藝春秋も部数減が止まらず、23万8288部で前年同期比は96.54%。

前年同期比100%越えで目立つ雑誌はハルメクとレタスクラブで、ともに113%台。ハルメクは17万5972部、レタスクラブは16万6654部。ハルメクは50~60代の女性がターゲットのオバサン雑誌であるが、この層へ向けた雑誌は好調のようだ。