「やわらかな笑顔で、話しかけやすい」というのも、社内での坂本さんの評価の1つだ。リーダーとなった現在は、接客だけでなく、社内の百貨店営業担当者とBAの間で生まれがちな溝を埋める役目も担う。

「営業担当者は男性が多く、論理的に数字を出して話をすると、BAにはきつく聞こえることがあります。そういうときは間に入って、『その言い方は受け取る側が嫌な気分になる』といったことを伝えます。一方で、私もこの立場になってから、営業担当者の業務の過酷さも理解しました。その点はBAに説明して、お互いが気持ちよく仕事ができるように心がけています」

接客でも社内調整でも、相手に緊張感や威圧感を与えず、聞きたいことを察知して寄り添う。それが坂本さん流の対応術と言えるだろう。

▼Questions
(1)部下への接し方は?
入社当時に言われた「お客様の立場に立った接客」と「言われたことはなによりも優先して動く」ということを伝えていますね。ただBAは接客のプロですから、「こうしなさい」ではなく、「こうしたらもっとよくなりますよ」と、ソフトに伝えるようにしています。
(2)必携のGOODSは?
採寸用のメジャーです。サイズをきちんと把握しないといいご提案はできませんから、必ずカバンに入れています。
(3)ストレス解消法は?
西武ライオンズファンなので、野球観戦に行ったり、店長たちと飲みに行くと、みなさん情熱家なので、元気をもらえます。ちょっとしたときにはミント系タブレットでリフレッシュしています。
(4)学ぶときには?
弊社の創業者の本をよく読みます。なかでも写真の『塚本幸一 わが青春譜』は、塚本の人となりが書いてあり、読みやすいと思います。自分は生かされているという感謝の気持ちとか、仕事で迷ったときや、できないとくじけそうになったときに勇気づけられる言葉などが多く、たびたび読み返しています。

撮影=干川 修