さらに、女性にこそ有効な2つのアドバイスがあるという。

「女性は、自分が伝えたいことに夢中で、話が一方通行になってしまいがちです。そこで相手の表情を観察するもうひとりの自分を意識することをおすすめします。そして、相手と呼吸を交換するのです。自分が話してばかりでは、相手は息を吸うばかり。そこに気づけばこちらは少し間を置いて、相手に息を吐いてもらうことができるでしょう。会話とは、呼吸のやりとり。これさえできればもう怖いものはないはずですよ」

▼秋元さんが愛用する 鉄板フレーズ
「自信を持って」
最高のパフォーマンスを発揮させたいとき、秋元さんはまずこのフレーズを使うそう。
「肩の力を抜いて」
力んでいると前のめりになりかねず、空回りする危険性も。そこでこのフレーズが有効に。
「そのままのあなたでいいの」
他人も自分も、あるがままを認めてあげることで、話し方はよりスムーズになるのだとか。

リラックスした状態が、実はいちばん美しい

最後に、秋元流美しい話し方のテクニックを披露してくれた。

「エレガントなビジネスウーマンをめざすなら、語尾まできちんと発音すること。『お願いします』なら『す』まで。『ありがとうございました』なら『た』まで。語尾を流してしまうと曖昧で幼い印象を与えてしまいます。また、口を開けたまま話し始めるのは言語道断。同じ『あ』でも、開いたままと閉じた状態からでは全く音が違いますから。1度口を閉じてから発声すると、声はいちばん美しく響くのです」

これらの所作を身につけたなら、話し方の最上級レベル「リラックスした状態」が手に入るのだとか。

「お風呂で歌うのが一番うまく聞こえるのと一緒ですよ。他人の評価を気にするより、自分がどうありたいかに焦点を当てるほうがパフォーマンスは上がるのです。自分の声と自分の考えで堂々と勝負する。そんな女性をめざしてほしいですね」

▼秋元さんが選ぶ 話し方を学ぶ本

(左)DVD付きで初心者にもわかりやすい『究極のボイストレーニング 誰でも驚くほど声がよくなる 歌が上手になる!』(日本文芸社)。(右)わかりやすく知識と雑学まで身につく『声がよくなる本』(主婦と生活社)。

秋元紀子(あきもと・のりこ)
女優、朗読・演技講師
女優として舞台や映画、ドラマ、ナレーションなど幅広く活躍。NHK連続テレビ小説や大河ドラマの主演女優など、俳優の育成にもあたり、現在は各地で数多くの朗読会、また朗読・演技の個人レッスンも行っている。

撮影=ノザワヒロミチ