社会人になっても親と同居したままの20、30代の子どもは少なくない。FPの横山光昭さんは「同居中にしっかり貯金できず、親もその状態を放置しがちだ。おまけに経済的支援する親もいて、自分たちの老後資金が減る危険性もある」と指摘する。横山さんが、「ストレス散財」を続ける実家住まいの39歳女性にアドバイスした内容とは――。

20、30代で親と同居のパラサイト息子・娘が散財する理由

親と同居している20、30代の独身者で、自分のために使えるお金が多いにもかかわらず、貯金ができない人は少なくありません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/michellegibson)

今回相談にいらっしゃった契約社員の池田真理(仮名・39歳)さんも、そんな「残念な独身」のひとり。毎月の赤字が約6万円あり、それをボーナスで補填してきましたが、それも底を突き、100万円の貯金を切り崩すところにまで追い込まれたそうです。自業自得ですが、「このままでは、貯金がなくなります」とかなり焦っています。

首都圏の郊外都市に住む池田さんは、同居している両親には、毎月の手取り19万5000円のなかから、2万円を渡しています。ただし、食費、水道光熱費、インターネット代の負担はなく、残りの17万5000円をすべて自分のために使うことができます。

しかも、通っている英会話教室と資格取得のセミナーの費用は、「教育費」として親が負担していました。40歳間近だというのに経済的に依存している池田さんも問題ですが、いつまでも過保護な両親も問題です。

家賃なし、水道光熱費なしでも月20万円を使い果たす39歳

毎月17万5000円も自分のために使えるお金がある池田さんは、どうして毎月6万円も赤字を出してしまうのでしょうか。ひとつひとつじっくりと支出の状況を伺ってみました。

通信費(1.6万円)、被服費(3.5万円)、美容費(1.3万円)など、独身女性の必要経費といえる出費もありますが、手取り19万5000円という収入のなかで、池田さんの家計を苦しくしている一番の要因は、毎月合計5万円にもなる「リボ払い」でした。

リボ払いはクレジットカードの返済額を一定にする支払方法です。たとえば毎月の返済額を1万円に設定すれば、9月に3万円の服を買い、10月に5万円の家電を買っても、毎月の返済額は1万円のままです。返済額が増えないため、「家計にやさしい」と勘違いしがちなのですが、リボ払いの金利手数料は約15%と非常に高く、元金が減らないまま、支払いが長期間終わらないという状況に陥りやすいのです。

案の定、池田さんのリボ払いの残高は93万円で、返済は2020年まで続くことになっていました。このまま毎月の赤字が続けば、100万円の貯金はなくなってしまうでしょう。