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一億総ジリ貧に突入。40代は「赤信号」

はっきり言おう。すべてのサラリーマンは「負け組」であり「下流」に転落する。実際、現役世代には残酷な時代が足音を立てて近づいてきている。

写真=iStock.com/dolgachov

上流、下流は単に年収だけの問題ではなく、どの年代に生まれたかが大きく関わる。

「すでに60代後半に差しかかった団塊世代は最もハッピーですね」(経済ジャーナリストの荻原博子氏)

日本の高度経済成長とともに歩んできた団塊世代は、子どもの教育費がかかる40代になるとバブル景気に突入し、給料は右肩上がり。家計調査年報(2015年、2人以上世帯)によると、世帯主が60歳以上の世帯では、約3分の1が2500万円以上の金融資産を持つ。4000万円を超える世帯も6世帯に1世帯に上る。

最も厳しいのは40代だ。

「団塊世代を親に持つこの世代は、『マイホームぐらい持て』とか『子どもの教育にはお金をかけろ』などと親に言われて育ちました」(荻原氏)

団塊世代は自分の成功体験を子に伝えたつもりだろうが、すでに時代は変わっていた。無理してマイホームを購入して、子どもを私立に通わせているいまの40代は、家計が抜き差しならぬ状況に陥っている。マイホームを売却しても多額の住宅ローンが残るし、子どもはいい大学を出ても、収入のよい仕事に就ける時代ではない。

50代は少し厄介な面がある。夫はバブル崩壊後の不況を身に染みて感じている。一方で妻は、新入社員時代にバブルを経験したまま結婚し、専業主婦になったケースが多い。そのせいか、いまだにワンランク上を目指すのが好きで、贅沢から抜け出せないでいる。

つまり、団塊世代を「上流」としたとき、子である40代と50代の現役世代は「下流」になってしまうのだ。