対応する相手が記者から投資家に変わって大苦戦

四半期ごとの決算書をまとめたオリジナルノートと、株主総会向けに作成した問答集。項目ごとにタグがつけられ、メモ書きやマーカーの跡があちらこちらに。かなり勉強していた様子が伝わってくる。

それが、05年に新設のIR室長を任されることになって状況が一変。それまで経営企画部が担っていた投資家対応の業務と、一部総務部が担当していた株主総会の運営をIR室で行うことになったんです。

経済誌の取材対応はもちろん、決算資料も和英で作成しなければならない。前任者がいなかったので、財務諸表の見方などは外部の研修講座に通ったり、入門書を読んだりして自分なりに勉強しました。簿記を受けたり、ビジネス会計やFASSといった資格を取りに行ったりもしました。

一番ハードだったのは、相対する相手がメディアの方から、投資家やアナリスト、株主の方に変わったこと。専門的でレベルの高い質問をいただくことが多いため、それにきちんとお答えするための知識を身に付けるのは本当に、本当に大変で……。どんな質問にも対応できるように、株主総会前には問答集を作って備えていました。

すると、4、5年が経つ頃には、数字の単位が即座にわかるようになっていました。営業部もそうですが広報部でも、普通、見積もりは円単位です。でもIRの資料は、1000円とか、100万円単位なんですよ。億円単位ってあまりなくて、財務諸表は大体100万円単位になっている。例えば4000という数字があったときに、これを4000円と読むか、40億円と読むか。4000Mと書いてあると、今ではすぐに40億円だとわかります。数字に目が慣れてきたというのが大きいのでしょうね。