早稲田大学文学学術院の現代文芸コースに通っていた元大学院生の女性が、渡部直己教授から「おれの女になれ」と言われるなどのハラスメントを受けた問題で、女性から相談を受けた女性教員がプレジデントオンラインの取材に応じた。女性教員は別の男性教員から「どこで誰に何を言うかはよく考えたほうがいい」と口止めを受けていたことを明かした。「セクハラ疑惑」の第2弾をお届けする――。
早稲田大学文学学術院のウェブサイト。

「どこで誰に何を言うかはよく考えたほうがいい」

被害女性が早稲田大学のハラスメント防止室に提出した「苦情申立書」によると、女性は渡部直己教授からハラスメントを受けた後、コースの主任だった男性教授に相談を持ちかけたが、「現代文芸コースがつぶされてしまうかもしれないので、口外しないでほしい」と口止めを受けたという。

一方で、早大の女性教員によると、このコース主任だった男性教授とは別の男性教員も、この問題を事前に把握し、周囲に口止めを求めていたことがわかった。

早大の女性教員は、渡部教授のハラスメントを以前から問題視しており、周囲に注意を呼びかけていた。そして被害女性から相談を受けたあと、女性教員は男性教員から「どこで誰に何を言うかはよく考えたほうがいい」といわれたという。

女性教員は6月18日、プレジデントオンラインの取材に対し、次のように答えた。

「これは『一発アウトだな』と思いました」

――元大学院生の女性が渡部教授からハラスメントを受けていたことは知っていたのか。

「私がハラスメント事案を知ったのは、2017年の4月下旬です。授業の帰り道で彼女と一緒になり、彼女から『渡部教授から、俺の女になれ、と言われた」と明かされました。彼女の話をよく聞くと、これは『一発アウトだな』と思いました。彼女に対しては『教授を辞めさせることもできると思うけど、あなたはどうしたい?』とは伝えました。すると彼女は『渡部ゼミから違うゼミに移動させてほしい』と言ってきました」

「その時の私は、教授を辞めさせたいと言わなかったことを根拠に『可能な限り穏便にすませたいのだな』と彼女の気持ちを読み間違えてしまいました。せっかく私を頼って相談してきてくれたのに、どうしてその時にちゃんと気づいてあげられなかったのか、とても悔やんでいます。彼女には本当に申し訳なく思います」