外国人労働者の増加が、男女の賃金格差に影響?

「1位の秋田県は美容サロンや理容サロンが日本一多い県。美容師さんや理容師さんなど手に職をつけている女性が多いので、男女の賃金格差が少なくなっているのかもしれません」(矢野氏)

2位と3位の沖縄と高知は、ともに女性の強い土地柄だ。3位の高知県は女性管理職率の高さが日本一でもあり、賃金格差が少ないのもうなずける。

一方、男性に比べて女性の賃金が日本一低いのは滋賀県だ。男性が100もらっているとすれば、女性は63.7しかもらっていない。この理由について橘木氏は次のように推察する。

「滋賀県は大都市・大阪に近く、その影響もあり、男性の所得が比較的高めです。一流企業の生産拠点(工場)が多く、男性向きの職種が充実している。工場の軽作業は女性が担うこともありますが、滋賀ではブラジル人など外国人労働者が増えているので、あえて女性を雇わなくてもいい環境になっている。これも、男女の賃金格差が大きい理由かもしれません」

また滋賀県は「近江商人」が活躍した土地として知られる。

「商人が活躍した地域では、女性が比較的早く結婚する傾向が見られます。その結果、男性より賃金が低くなることが考えられます」(矢野氏)

言われてみれば、確かに43位の山梨は甲州商人が、44位の愛知は尾張・三河商人が、45位の三重は伊勢商人が活躍した土地。説得力のある説だ。

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出典:育児をしている女性のうち働いている人の割合……総務省統計局「25~44歳の育児をしている女性の有業率」/男女の賃金格差……厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2016年)」をもとに編集部作成

矢野新一
ナンバーワン戦略研究所所長
東京都出身。市場調査会社、ファストフード業界などを経て独立。1990年より現職。『都道府県別ヒット商品の法則』『県民性は7392通り!』『「県民性」で結婚成就』など、県民性研究の第一人者としても知られる。
 

橘木俊詔
京都女子大学客員教授
兵庫県出身。小樽商科大学、大阪大学大学院を経て、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学名誉教授。著書に『東京大学 エリート養成機関の盛衰』『日本の経済格差』など。
 

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