自分の市場価値を上げるにはどうすればいいのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は1000社・10万人以上の「人事ビッグデータ」を分析した結果、「あしたの履歴書」というメソッドを提唱しています。その重要項目のひとつが「社員幸福度」。米国最大の調査会社であるギャラップ社は「12の質問」で社員幸福度を測定しています。その内容とは――。
2017年2月17日米国シカゴのギャラップ社オフィスにて。5日間の上級ストレングスコーチ講座修了式後の受講生集合写真。中央右が筆者。(筆者提供)

日本は139カ国中132位と最下位レベル

組織のエンゲージメントを測るツールとして、米国のギャラップ社が実施している「エンゲージメント・サーベイ」があります。ギャラップ社は米国最大の調査会社ですが、その膨大な調査データの集計・分析をもとに組織開発のコンサルティングも行っています。

(筆者注)エンゲージメントとは婚約や約束の意味ですが、従業員エンゲージメントは、従業員の企業に対する信頼関係や愛着心を指します。日本語で「熱中度」などと訳されることもありますが、そうした狭い概念ではなく、仕事や会社に対するワクワク感や幸福感とも言える概念です。私は、エンゲージメントを社員幸福度と表現しています。

そのギャラップ社が全世界1300万人のビジネスパーソンを調査し、導き出したエンゲージメントを測定するたった12の質問が「Q12(キュー・トゥエルブ)」です。この調査によると、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合が6%で、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位レベルでした。さらに言うと、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」はなんと70%に達しています。

「そんなはずはない。たかが12の質問でそんなことまでわかるのか」と思う読者も多いでしょうが、まずはその12の質問に目を通してみてください。なるほど、日本企業は低いはずだと納得するはずです。

▼「Q12(キュー・トゥエルブ)」の内容

Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

いかがでしょうか。もちろん、日本人特有のものの考え方や人間関係のあり方、文化などがあり、欧米企業の尺度で測ってほしくないという意見もあるでしょう。しかし自分が、もしこの12の質問すべてに5点満点で最高点をつけたらと想像してください。職場が楽しくて、ワクワクしながら自発的に仕事するイメージが湧いてきませんか。