簡単な具体例で理解を深めます。たとえば全世界で年間140億個も売れた商品があったとします。140億個という数字はあまりに大きすぎて、いまいちピンとこない数字ではないでしょうか。世界の人口が約70億人であることを考えれば、「全世界で年間1人あたり2個買った商品」という伝え方もできるでしょう。

そこで考えます。たとえばあなたが年間に2個買うものはどんなものでしょうか。私は年に2着ほどスーツを新調しますが、世界中のすべての人が私と同じことをするとイメージすると、私にとってはこの140億個という数字が実感を伴った「すごい」になります。使ったのは言うまでもなく、ただの割り算です。

同じことを伝えているのに伝わり方が違う。コミュニケーションにおいては、頻繁に起こることです。たとえば、「元カレ」は甘酸っぱい青春の香りがしますが、「元交際相手の男性」は犯罪のにおいがします(あくまで私の主観ですが……)。

同様に、せっかく数字という具体的な言語を使うのであれば、最後のちょっとした“ツメ”まで気を使い、相手がピンとくる数字に変換して伝えてみましょう。

▼ビジネス数学の専門家・深沢真太郎先生のアドバイス
ただ単に数字を並べてもピンとこない。相手に伝わるレベルまで数字を割ってみよう!
深沢真太郎
ビジネス数学の専門家。BMコンサルティング株式会社代表取締役、多摩大学非常勤講師。『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など著書多数。人生のテーマは「数字が苦手な人を0(ゼロ)にする」。