多感な思春期に広い世界を見せてくれた

もう1冊、私の考え方に大きな影響を与えた本が『ハッブル望遠鏡が見た宇宙』。中学生のときに、背伸びして買った本です。表紙の写真もまるで宝石のように美しくて、宇宙の神秘にワクワクしました。

(左)『こころ』夏目漱石 新潮文庫/370円(税抜)
(右)『カラー版 ハッブル望遠鏡が見た宇宙』ロバート・ウィリアムズ 岩波新書/1000円(税抜)

思春期真っただ中の私にとっては、広く果てしない宇宙を知ることが、自分という存在を見つめ直すきっかけになっていたようにも思います。私はどこに立って、どんなふうに生きていったらいいんだろう。人間の一生ってなんて短いんだろう。美しい星雲の写真を眺めながら、自分の生き方や人生に思いを巡らせたりもしました。宇宙は、普段目に見えないけれども確かにあるもの。ロマンチックで壮大な宇宙をわかりやすく解説してくれた1冊が、多感な時期に強烈な印象を残してくれた本として記憶に残っています。

年月を経ても読み継がれている本は、テキストに血が巡っていると感じます。脈々と流れる血液が、自分の経験のヒントにもなっていく。最近は、ビジネス書を読む機会も多くなり、仕事への向き合い方のアドバイスを得ることも。人前で話したり、企画を立ち上げたりすることが多いため、アウトプットの倍くらいインプットしなければ、と考えています。そうしないと、自分のなかから新しいものが生まれなくなってしまうような気がして。心に響いたページの角を折ったり、線を引いたり、読みかけのところにカバーを挟んだりしながら、活字を自身の血肉としていけたらと思っています。

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TOE THE LINE代表取締役・きんゆう女子。代表 鈴木万梨子
獨協大学卒業後、エイチ・アイ・エスに入社。団体旅行のコーディネーターとして、約8000人にオーダーメードツアーを提供。2015年にFinTechベンチャーに転職したことを契機に、金融・経済リテラシーの必要性を痛感。16年に起業し、中立な女性向け金融コミュニティー「きんゆう女子。」を運営。
 

構成=浦上藍子 撮影=吉澤健太 曾田 園(書影)