Case 3:展開力を発揮して、ネガティブな反応でも諦めない

▼売れる営業は反論せず、相手も納得する答えを探る

営業をしている以上、避けて通れないのは拒絶されるつらさ。「冷ややかな対応をされることがほとんど」と言う樋口さんだが、意外にもその口調は明るい。「私は断られても引きません。必ず、次に会える口実を探します」。きっかけを見つけることができるのは、樋口さんの営業トークのベースが「人への興味」にあるから。そのうえで、共通の話題を見つけるよう心がけている。「例えば、訪問したい方がお庭に凝ってらっしゃると知ったら、『今度ガーデニングについて教えてください』とお願いする。すごくずうずうしいんですけど(笑)、じゃあ一度会ってみようかとおっしゃってくださる方もいます。興味があるので知りたいと思うんです」

「商業には波があるので、時期によって状況が変わる」という山本由さんは、ダメな場合は深追いしない派。「でも、次のチャンスをうかがって、『こういうところが以前と変わったので、このタイミングでもっと伸ばしませんか』というお話ができるように準備をします」。また、出店できないと考える理由を聞き出して、「私たちで協力できるところは協力していく」姿勢を示すことも。「仕事の半分は社内営業。社内を説得し、つくりたい売り場とお客さまの要望を調整していきます」

お互いの表情が見えない所さんは、「反論しない」ことを第一に掲げている。「自分のルールとしては、こちらから何か言いたくても、相手の話にかぶせず、気持ちよくお話しいただけるように最後まで聞きます。そして相手に同調したうえで、話をつなげられるようなら、相手の考えや関心がない理由などもヒアリングをしていきます」

経験上、「売れる営業は反論しない」と山本さんは断言する。「否定的なことを言われても、『おっしゃるとおりです』と相手の納得感を引き出したうえで、『こういう考え方もトレンドとしてあるんですよ』と提案していくと、意外と前のめりで聞いてもらえる。“知らない間に喜んで買っていた”という流れをつくり出すことができれば超一流です」