(左)日本ハウズイング 第一事業部 課長 森上小友美さん
(中)JTBコーポレートセールス 営業第三課長 野村健児さん
(右)モスフードサービス CSR推進室 社会環境グループ グループリーダー 松田由美子さん

Case 1:雑談&ユーモアで上下のカベを取り払う

▼プライベートに踏み込むかどうかはマネジャーのキャラ次第

普段から部下とプライベートの話をよくする野村さんは、雑談の話題には事欠かない。たとえば女性クライアントとの商談中も、「息子が飛行機を見るたびにパパ! と言うので、ママ友が私をパイロットだと思い込み、本当のことを言いだせなくなって」と場をなごませている。

こうした「自己開示」は共感を高め、信頼を深めるのに役立つ。客先に部下を信頼してもらう手段としても使える。

「たとえば『◯◯には将来、こんな仕事を任せたい』と、部下への期待を客前でさりげなく伝えれば、部下のモチベーション向上につながります」(中原さん)

一方、プライベートを仕事に持ち込まない松田さんは、自分の仕事上の体験談を語ることで、部下の失敗をフォローしているという。

「自己開示することで部下に自信をつけさせ、失敗を解決に導くという方法ですが、このとき、当人が失敗の原因を見いだすことが重要。何が起きたか、何がよくて何が悪かったか、今後どうするのか。失敗に向き合い、一緒に考えることもマネジャーの務めです」(中原さん)

メンバー同士のいさかいが、場の空気を一瞬で悪くすることもある。

森上さんはそんなとき、あえて満面の笑みで「いま、気まずい空気だよね」とストレートに言い放つ。

「それはすごい(笑)。あくまでも主観的に自己開示していく、逆転移と呼ばれるカウンセリング手法に近いですが、関係性に依存するところが大きいので、悪化したときにハラスメントになる可能性もあります。森上さんは“甘辛キャラ”だからできるのでしょう」(中原さん)

どこまで自己開示するか、どこまでプライバシーに触れるかは、社風やマネジャーのキャラクター次第といえそうだ。