セルフマネジメントは、ビジネスパーソンに不可欠のスキル。太ってしまう人は、自己管理がなっていない──。そんな言葉をまじめに受け止め、コンビニで「サラダチキン」を買い、「糖質オフ」を心がけていると、人生は苦しくなるばかりだ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「幸せになりたかったら、『ダイエット教』という呪縛から自由になれ」と説く。

別にデブでもいいじゃないか!

世の中、ダイエット関連の情報だらけだ。ちょっと思い返してみるだけでも、リンゴダイエットや納豆ダイエット、炭酸水ダイエットなど、これまでさまざまなダイエット法が提唱されては廃れていった。

率直に尋ねたい。そうしたダイエット法にいちいち食いつく人は、いったい何を考えているのだろうか?
 正直、バカなのだろうか? 特定のものを食べ続ければ痩せる……なんて方法に、どんな科学的根拠があるというのか。

人体は基本的に、摂取したカロリーよりも消費したカロリーのほうが多ければ、痩せていくものだ。そして、特定の食べ物や飲み物だけを摂取するといった、極端な偏食をするだけのダイエットで仮に体重が落ちたとしても、私からすれば「それは“痩せた“のではなく“やつれた“だけなのでは」と感じることも少なくない。

とはいえ、今回はダイエット方法の是非について細かく論じたいわけではない。本稿で言いたいのは「別にデブでもいいだろ!」ということだ。

局地的ブームに流されるだけの中途半端な体型維持

どうせ、中年になれば代謝なんてものは悪くなり、10代、20代のころと同じ調子で食べていれば太ってくる。そして、若いころと同じペースで動いているだけでは体重は減ってくれない。そうした「老い」をきちんと認識しなければならない。それなのに、昨今の「美魔女」だの「ちょい悪オヤジ」だの、局地的ブームに流されては中途半端に体型を維持しようと頑張る。

本当に走るのが好きで好きでたまらない、ジムでワークアウトするオレ、サイコー! みたいに思うのであれば、体を鍛えまくればいいのだが、正直面倒ではないか? 「あぁぁ、今日は会社帰りにジムへ行かなくちゃ……でも、すげー豪雨! どぉしよぉ~」なんて状況の場合、自宅から2駅前で電車を降りてジムに行くよりも、家の最寄り駅にパッと着いてチャーシュー麺でも食ったら、さっさと帰宅したいところだろう。部屋着に着替えてゆっくりニュース番組でも見て、風呂入って寝たいわ、なんて思うのが、本来自堕落な存在である人間の性なのだ。

もうね、世のオッサン・オバサンは無駄にダイエットしなくて結構! アメリカなんかに行けば、「お前とコビトカバ、どっちのほうが重い?」みたいなオッサンやオバサンがそこらへんを歩き回り、巨大ホットドッグや1リットル近い巨大紙コップのドリンクなんかを口にしている。「ダイエット・コークだから太らないもんね」なんて言いながら、特大バーガーとチェダーチーズまみれの山盛りポテトをわしわしと食い続ける。