働き方だけでなく休み方の改革を

現在「働き方改革」によって、労働者の働き方が見直されている。しかし私は同時に、休み方も改革が進められていくべきだと思う。

一度に長く休んだほうが疲労回復にいいのか、小刻みに休んだほうが健康障害は減るのか。休み方に関する調査研究はあまり進んでおらず、これから精密なデータを出して、調べていくべきテーマである。もし解明できれば同じ労働時間でも、休み時間を充実させることで生産性が高まり、健康も促進する可能性がある。

近年、ヨーロッパから発祥した、仕事の合間に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」制度が広まりつつある。EUでは、原則として終業時間から翌日の始業時間まで11時間以上空けることが法律で義務づけられており、さらにインターバルを敷ける職種、敷けない職種が事こまかく規定されている。日本でも古くはホンダが1970年代から始め、最近ではユニ・チャームやTBCなど一部の企業が実施し、ヤマト運輸やゼンショーでも導入を予定している。厚労省の調査によれば、導入している日本企業は2015年の時点で2.2%である。今後、各企業がどのように対応していくか、見守りたい。

残業時間の上限が決まったが、法律は必要最低限の基準であり、それさえ守っていれば、必ずしも健康障害を防げるというものではない。健康をしっかり確保するには、業界、経営者、組合、労働者が一体となった「働き方・休み方改革」が今後、進んでいくのが重要となるだろう。

(構成・撮影=野澤正毅)
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