その海外の美術館は、今、リニューアルブームを迎えています。展示空間を変え、従来のコレクションを年代順で展示するだけではなく、今まで展示することが出来なかったような巨大な作品や大がかりなプロジェクト展示が出来るようにしているのです。例えば、MoMAは5年前に日本人建築家の谷口吉生が担当し、新しいウィングを作り、海外の美術館では珍しく建物の中心にエスカレーターを作りました。また大きなガラスを多用し、自然採光で作品が見られるようにしています。

一方、街の活性化を視野にいれて再編成をしたのがロンドンのテートギャラリーです。それまでは、イギリスが生んだ画家、ウィリアム・マロード・ターナーのコレクションで知られ、池に浮かんだオフェーリアの絵で知られるジョン・エバレットミレイやバーン・ジョーンズなどラファエル前派と呼ばれる作品群のコレクションが有名でした。

ポンピドゥーセンターの広くなった常設展示室
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ポンピドゥーセンターの広くなった常設展示室

しかしテートモダンを新設し、今、生きている現代アーティストに7階までの吹き抜け空間を利用しての、新作を発表させる形で、どんどん魅力的な作品を紹介し始めました。テートギャラリーは、ロンドン市内のテートブリテンとテートモダン、地方のテート・リヴァプールとテート・セント・アイヴォスの4つの美術館を持ち、コレクションを巡回させながら、さらに拡張する方向を打ち出しています。特に、テートブリテンとテートモダン両館の間にはテムズ川を利用したシャトル運航を行っています。

ロンドンの成功はヨーロッパ各都市へも大きな影響を与え始めました。フランスの現代美術館として輝かしい歴史を作ってきたポンピドゥーーセンターもリニューアルした上に、分館を建設中です。ルーブルも新しい分館を作っています。新館や分館を作ることで、展示方法を変えたり、今まで扱うことがなかった若いアーティストの作品や紹介されなかったアジアや南米、アフリカのアートを紹介し始めているのが今回の再編成の特徴です。

また、非常に面白いことに、それらの美術館の設計の多くを日本人建築家がコンペに勝利して担当しているという点です。ルーブル美術館分館はSANAAの妹島和世+西沢立衛、フランスのメッツに予定されているポンピドーセンター分館は坂茂、中東に建設される博物館は安藤忠雄が、担当します。

ニューヨークのMoMA中庭
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ニューヨークのMoMA中庭

ところで、NYのMoMAの入場料は20ドルで約2000円です。高めですが、それは観光客価格となっているからなのです。NY市民の多くは年間パスポートを購入し、格安で一年中、いつでも刺激的展覧会を見ることができます。(メンバー料金は75ドル、カップルなら120ドル、ファミリーなら150ドルです。日本の美術館も見習うべきでしょうね)また、併設されているミュージアムショップも割引があります。またMoMAでは美術展だけではなく、同館で開催される演劇やコンサート、映画なども見ることが出来るのです。

ビジネスマンの皆さまへの提案です。今年は職場や自宅にもっとも近い美術館の会員になって、美術館を利用しまくってみる、というのはどうでしょうか? 都内にはたくさんの美術館があります。その中の図書館などは平日でも空いていて快適です。私も1つ使いまくっている美術館があります。恵比寿の東京都写真美術館です。ここの図書館で資料を調べるのが楽しいのです。貴重な映画上映もありますし、木曜日と金曜日ならば午後8時まで開いています。

今年はぜひ美術館へ足を運んでみてください。